ハウスキュウリの生理障害対策

[要約]
ブルームレス台木使用のキュウリに発生する葉脈褐変等の生理障害マンガン過剰症であり土壌pHの矯正によって予防することが可能になった。pHの矯正に使用する資材はケイカルよりも炭カル苦土石灰の方が有効であった。
高知県農業技術センター 生産環境部 土壌肥料科
[連絡先]0888−63−4915
[部会名]生産環境(土壌肥料)
[専門]肥料
[対象]果菜類
[分類]指導

[背景・ねらい]

ハウスキュウリ栽培がブルームレス台木利用に切り替わるとともに、芯止まりやカッピング、葉脈褐変等の生理障害が多発生して収量や品質の低下を招いているので、原因の解明と併せて対策を検討した。

[成果の内容・特徴]
  1. ブルームレス台キュウリに発生している毛茸の黒変、葉脈褐変等の生理障害はマンガン過剰症であり、葉中マンガン濃度が概ね400ppm以上で過剰症状を呈した。また、マンガン過剰症の発生程度が著しくなるはど土壌のpHは低く、交換性マンガン 濃度は高まる傾向がみられた。
  2. 土壌pHが高くなると葉中のマンガンおよびケイ素濃度は低くなったが、マンガンの減少率の方が大きいため、Si/Mnは高くなった(図1)。
    葉のSi/Mnが高くなるにつれて過剰症の発生が減少し、1.0以上での発生はわずかであった(図2)。
  3. 水耕試験においては、培養液中のケイ酸温度が高まるに従って過剰症の発生が減少した。土耕試験においても、ケイカルの施用量が増加するに従って過剰症の発生は減少したが、その効果は炭カルや苦土石灰と比較して明らかに劣っていた(表1)。この原因として、ケイカルは他の資材に比べて土壌pHの矯正効果が低いことが考えられた(図3)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 低pHの土壌では、PH(HO)を6.0以上とすることにより、マンガン過剰症の発生を予防することが可能となった。その際使用する資材は炭カルまたは苦土石灰がのぞましい。
  2. マンガン過剰症は多肥条件および過湿による土壌の還元状態によっても発生が助長されるので、肥培管理および水管理にも注意する必要がある。

 [その他]
 
研究課題名:ブルームレス台ハウスキュウリの養分吸収特性と肥培管理
予算区分  :県単
研究期間  :平成5年度(平成3〜5年)
研究担当者:松岡俊二、山中 律
発表論文等:高知の農林業新技術14号掲載予定
 
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