モモの高湿度冷蔵、またはポリエチレン個装冷蔵による販売期間の延長

[要約]
モモ差圧予冷により短時間で果実温度を低下させ、高湿度冷蔵貯蔵、またはポリエチレン個装貯蔵で貯蔵すれば、約3週間の品質保持が可能である。
徳島県果樹試験場・県北分場・落葉果樹科
[連絡先]0886-94-2712
[部会名]果樹
[専門]果樹
[対象]果樹類
[分類]研究

[背景・ねらい]

本県でのモモ栽培は、7月中下旬からの夜蛾の被害が甚だしいため、その頃までに収穫する早生・中生品種が中心となっている。しかし、販売価格は新盆時期がもっとも高く、有利販売するには2〜3週間の貯蔵が必要であるが、果実特性から常温ではすぐに軟化し劣化する。そこで貯蔵方法を検討して、出荷調整のための貯蔵技術を確立し、旧盆出荷の可能性を検討する。

[成果の内容・特徴]
  1. 差圧予冷を行うと、約2時間で果実温度が5℃に低下する(第1表)。差圧予冷によって、果実温度を短時間で下げることが可能であり、貯蔵性を向上させるのみならず、流通段階においても果実品質の低下を遅らせることが可能となる。 
  2. 0℃で高湿度(RH 90%)および通常湿度(RH 75%)冷蔵庫で23日間貯蔵した結果、正常果の食味指数に差はなかったが、通常湿度では全体的に乾燥気味であり正常果率の低下がみられたが、高湿度では正常果率は100%であった(第4表)。
  3. 貯蔵23日後に出庫して常温で放置し店持ち性をみた結果、高湿度貯蔵果では7日後でも正常果率は86.7%と店持ち性が高い(第2表)。
  4. 一方通常湿度冷蔵庫でもすると、裸果のままに比ベ30日間貯蔵後の食味が3.4 と高く、正常果率も100%と高くなる(第3表)。
[成果の活用面・留意点]
  1. モモの出荷調整のための短期貯蔵は0℃における高湿度、またはポリエチレン個装貯蔵(通常湿度)によって約3週間の貯蔵が可能であり、有利販売対策として適用が可能である。

 [その他]
 
研究課題名:特産園芸作物の品質管理技術の開発
予算区分  :県単
研究期間  :平成2年〜6年
研究担当者:佐尾山祥史、赤井昭雄
発表論文等:なし
 
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