カルシウム剤の高圧散布によるウンシュウミカンの浮皮防止

[要約]
成熟期のウンシュウミカンに対して炭酸カルシウム等畦畔ノズルを用い、高圧(40s/cu)で散布すると果実や葉の蒸散が促進され、浮皮の発生が抑制される。しかも糖度がやや高くなる。
   愛媛県立果樹試験場 栽培育種室 柑橘栽培班
    [連絡先]089-977-2100
    [部会名]果樹
    [専門]栽培
    [対象]果樹類
    [分類]指導

[背景・ねらい]

ウンシュウミカンは秋季の降雨によって浮皮が発生しやすく、その防止策として植調剤や炭酸カルシウム等の散布が検討されてきたが、効果は明らかでない。これまでの研究から炭酸カルシウム等を高圧で散布すると果実の蒸散が高まり、浮皮を抑制する傾向が認められている。そこで、各種カルシウム剤の散布方法の違いによる実用的な浮皮防止策を検討する。

[成果の内容・特徴]
  1. 1〜2分、5〜6分及び8〜9分着色期の南柑20号に対して連続3回のカルシウム剤懸濁液の高圧散布を行うと、果実の蒸散が促進され、浮皮発生が抑えられる。浮皮抑制効果は炭酸カルシウム200倍区でもっとも優れ、同500倍、カキ殻カルシウム500倍、ケイ酸カルシウム500倍区の順に対照区に比べて高い(表1)。
    品質については果皮色が濃くくなり、Brixがやや高まり、クエン酸もやや高くなる(表2)。果皮の含水率と浮皮度の間には正の相関が、果肉の含水率とBrixの間には負の相関が認められる。
  2. ケイ酸カルシウム500倍懸濁液を慣行ノズルで散布すると浮皮の発生は抑制できないが、畦畔ノズルを用いて高圧で行うと発生を抑制することができる(表3)。
[成果の活用面・留意点]

 [その他]
 
研究課題名:温州ミカンの品質向上に関する研究
予算区分   :県単
研究期間   :平成7年度(平成5年〜7年)
研究担当者:井上久雄・加美豊・中川雅之,藤原文孝
発表論文等:カンキツの果皮の蒸散が果実特性に及ぼす影響 園学雑65別1,1996
 
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