生分解性フィルムによる青果物包装

[要約]
生分解性フィルムガス透過性は低密度ポリエチレンに近く、青果物包装貯蔵に有効である。
   香川県食品試験場 食品保存流通担当
    [連絡先]0878-81-3177
    [部会名]食品
    [専門]加工利用 
    [対象] 
    [分類]研究

[背景・ねらい]

香川県内においては地球に優しい生分解性プラスチックの開発研究が盛んである。しかしその実用面についてはほとんど検討されていないのが現状である。そこで県内企業で開発された生分解性包装材を成果物流通・貯蔵に応用することを試みた。この包装材の実用化によって、使用後の廃棄物による地球環境の汚染が軽減される。

[成果の内容・特徴]
  1. 生分解性フィルムは、キトサン‐セルロース複合フィルム(厚さ30μm)とポリカプロラクトンフィルム(厚さ20μm)を貼り合わせた生分解性ラミネートを供試した。
  2. 10-25℃の範囲内で、生分解性フィルムの気体透過性と絶対温度との間に負の直線関係が認められる(相関係数0.995-0.998)(図1)。透過計数の値は青果物包装に用いられる低密度ポリエチレンに近い。
  3. 図1の気体透過計数の値を用いてカットレタス包装系内のO2濃度変化を計算したところ、経時的に測定した実際のO2濃度の値とよく一致したので、図1の透過係数の値は実用上有効である(図2)。
  4. 4種類の青果物の包装条件を計算すると、包装系内のガス組成は適切な数値で制御できると判断される(表1)。即ち生分解性包装材は10-25℃の範囲内で青果物の貯蔵及び流通に利用可能である。
[成果の活用面・留意点]
  1. 生分解性フィルムが高価であるので、普及させるには製造コストの軽減が必要である。

 [その他]
 
研究課題名:農水産廃棄物を利用したエコ・マテリアルの食品流通への応用研究
予算区分   :産学官共同研究事業(県単)
研究期間   :平成6年度(平成4年〜6年)
研究担当者:牧野義雄
発表論文等:なし
 
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