葉菜類のセル育苗培地への籾殻くん炭利用

[要約]
 
葉菜類セル育苗培地として籾殻くん炭を利用する場合、pHを矯正すると共に、バーミキュライトを半量混合し、微量要素入り肥料を施用する。また市販培地に混合する時はpH矯正後の籾殻くん炭を等量〜半量混合する。
愛媛県農業試験場・栽培開発室
[連絡先]089-993-2020
[部会名]野菜・花き・茶(野菜)
[専門]栽培
[対象]葉菜類
[分類]普及

[背景・ねらい]

近年、セル育苗が普及しつつあるが、苗を多く必要とする葉菜類では、育苗培地の低コスト化が望まれている。また本県に導入されているK式自動籾殻炭化装置により大量に製造される籾殻くん炭の有効利用も要請されていることから、入手しやすく、安価な籾殻くん炭のセル育苗培地への利用技術を開発する。

[成果の内容・特徴]
  1. 自動籾殻炭化装置で製造されるくん炭は、細かく均質だがpHが10.5あり、原物のまま利用するとアルカリ障害を生じるので、リン酸液等で浸漬処理しpH矯正する。
  2. 籾殻くん炭を単体で利用すると、根鉢の形成が悪いため、くん炭に対しバーミキュライトの細粒を2:1の割合で混合する(表1)。
  3. 培地の基肥の影響はレタスより、ブロッコリーの方が大きく、微量要素入り水耕肥料あるいはセル苗用の緩効性肥料を窒素成分200r/g以内施用する。高濃度では根鉢の形成が悪くなる(表3)。
  4. バーミキュライト、ピートモス主体の市販培地にpH矯正した籾殻くん炭を混合する場合は、レタスでは市販培地に対し1:1で混合する。またブロッコリーでは2:1の割合で混合する(表2)。
  5. 籾殻くん炭混合培地の物理性は、市販培地に比べ保水力(易効水)が低く、気相率が高くなる特徴があり、根毛が発達しやすい(表4)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 200穴前後のセルトレイを利用するレタス、ブロッコリー、チンゲンサイ等葉菜類の育苗に適用される。機械移植への適用は確認していない。
  2. pH矯正の例として、くん炭100リットルに対し、ダウン剤450リットルをくん炭の容積比60%の水に溶き浸漬処理し、播種まで飛散しないように生乾きで保存する。レタスの高温期の播種では、高温乾燥に特に気をつける。市販培地、バーミキュライト、緩効性肥料の混合は、十分に行い、均一化を図る。基肥が緩効性でない場合は適宜追肥する。

 [その他]
 
研究課題名:葉菜類の低コスト苗生産技術の開発
予算区分:県単
研究期間:平成8年度(平成5〜7年)
研究担当者:才木康義、角田和利、大林弘道
発表論文等:なし
 
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