カツオ油、シシトウ及びアオサを利用した土佐ジロー卵の高付加価値化

[要約]
 
鶏飼料中にカツオ油を3%添加すると鶏卵黄中のn-3系脂肪酸のEPAは9倍、DHAは2.5倍に増加し、カツオ油とアマ二油との混合添加ではα−リノレン酸が7倍に増加する。また、シシトウ3%添加は卵黄色の向上と卵黄中のビタミンの強化に有効で、パオ鶏舎での放飼(野草菜食)を併せればさらに効果的である。
高知県畜産試験場・養鶏科
[連絡先]0889-22-0044
[部会名]畜産
[専門]飼育管理
[対象]家禽類
[分類]普及

[背景・ねらい]

本県では中山間地域を中心に卵肉兼用特産鶏である土佐ジローが飼育されている。健康志向と環境問題に対する消費者ニーズに対応するため、主に本県で取れる畜産的未利用資源である農・林・海産物等を活用し、ジロー卵の品質向上と高付加価値化を図る。

[成果の内容・特徴]
  1. 試験用基礎資料中(CP18.82%、ME2,616kcal)に@カツオ油3%の添加は産卵率が向上したが卵黄色(CF)は低下する。A卵黄卵責中のn-3系脂肪酸DHA(C20:5n-3ドコサヘキサエン酸)EPA・(C22:6n-3工イコサペンタエン酸)が増加するうえ、n-6/n-3が3.43となり健康上理想に近い数値になっている。Bカツオ油1.5%とアマ二油1.5%の添加はn-3系脂肪酸α一リノレン酸が増加する(表1)。
  2. 試験用基礎資料中にカツオ油3%の添加は鶏の血清血漿中におけるのGOTは変化は少ないが、総コレステロールとトリグリセライドは増加する(表2)。
  3. 試験用基礎資料中に@番茶3%の添加は産卵率、卵黄色は低下するがハウユニットはやや向上する。Aシシトウ3%の添加は卵黄中のビタミンEと卵黄色は、増加するが産卵率は低下する。Bシシトウ3%とアオサ3%の添加はビタミンAと卵黄は増加し、さらに、パオ鶏舎での放飼(野草菜食)に活用するとよりビタミンAが増加する(表3)。
  4. 以上により、農水産物処理残渣の有効利用により高品質で安全な機能性食品として鶏卵の供給が可能になる。               

[成果の活用面・留意点]

  1. カツオ油は保存性を高めるため脂肪酸Ca化が必要である。
  2. シシトウは未熟果と完熟果では卵黄色への効果に大きな違いがあり、完熟果のみを添加する場合は1%以下で未熟果と同程度の効果が期待できる。

 [その他]
 
研究課題名:四国中山間地域活性化のための特産鶏卵肉安定生産システムの開発
予算区分:地域重要
研究期間:平成9年度(平成7〜9年)
研究担当者:長坂直比呂、平岡英一、吉村 敦
発表論文等:なし
 
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