酵素剤による醤油もろみ濾過性の向上
- [要約]
- ヘミセルラーゼおよびペクチン分解酵素剤は、原料消化が不十分な醤油もろみの濾過性を向上させる。
香川県発酵食品試験場・発酵研究室
[連絡先] 0879-82-0034
[部会名] 食品
[専門] 加工利用
[対象] 豆類
[分類] 普及
- [背景・ねらい]
- 近年、機械製麹がおこなわれ、醤油麹の品質(酵素力価・汚染殺菌数等)も向上しつつあるが、時として品質不良な麹ができる。この様な場合、原料消化が不十分で、圧搾時に混濁が生じることになる。特に原料消化が不十分であると窒素成分と共に、もろみの濾過性の低下を招くことになる。醤油もろみの濾過性については、大豆に含有される多糖類と麹菌酵素の双方から多くの報告があるが、消化不十分なもろみの濾過性向上に関する試験例は少ない。本試験では市販酵素剤を用いて、消化不十分なもろみの濾過性向上を検討した。
[成果の内容・特徴]
- 市販酵素剤として表1に示した15種類の糖質分解酵素剤を用いた。酵素剤を1%(w/w)で醤油もろみに添加し、30℃で2および20時間反応させた結果、反応時間によるもろみの通過性に差異は認められない。
- 酵素剤を添加した試験区はいずれの酵素においても対照よりも高い濾過率を示した。特にセルラーゼYN-CおよびペクチナーゼSSの試験区は対照に比較して1.4倍の濾過率を示す(図1)。
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- 表1 供試酵素剤一覧表
[成果の活用面・留意点]
- 現行JASでは「タンパク分解酵素」以外、例えば「セルラーゼ」等の利用を認めているが、これらの酵素も製成工程以降は使用できない。よって製麹不良の麹を仕込に用いる場合には、仕込時からの酵素剤の使用が望ましい。
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- [その他]
- 研究課題名:香川県産学官共同研究事業 微生物・酵素を用いた食品新素材の開発
予算区分:経常研究
- 研究期間:平成9年度(平成7〜9年)
研究担当者:吉岡直美、木村 功
- 発表論文等:香川県食品試験場・香川県発酵食品試験場 研究報告90、13-14 1997
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