水出し緑茶の特性をわかりやすく説明したウェブサイト「なるほど・ザ・水出し緑茶!」

要約

美味しい緑茶を誰でも簡単に作ることができる「水出し緑茶」について、浸出時間・温度による成分変化、生理機能性など、「水出し緑茶」の魅力を消費者だけでなく、茶業者が消費者に対してわかりやすく伝えるためのウェブサイトである。

  • キーワード:緑茶、冷水浸出、溶出率、生理機能
  • 担当:果樹茶業研究部門・茶業研究領域・茶品質機能性研究ユニット
  • 代表連絡先:電話 0547-45-4101
  • 分類:普及成果情報

背景・ねらい

湯で緑茶をいれる場合、最適な湯の温度、茶葉の量、浸出時間などの浸出条件が細かく、消費者には美味しい緑茶をいれるのは難しいと思われがちである。一方、冷水を使うと誰にでも簡単に美味しい緑茶を作ることができ、夏季の緑茶の需要拡大の一助となっている。それに加え、浸出温度により、浸出されやすい成分と浸出されにくい成分があり、「水出し緑茶」ならではの生理機能性が期待できる。そこで、「水出し緑茶」の新たな魅力を発信するためウェブサイトを作成し、一連の研究成果を情報発信する。

成果の内容・特徴

  • 消費者だけでなく、茶販売に携わる人が「水出し緑茶」の魅力を分かりやすく消費者に伝えることができるように、誰でも簡単に美味しい緑茶が作れること、カフェインを減らした飲み方ができること、「水出し緑茶」ならではの生理機能性が期待できることなどを紹介したウェブサイトである(図1)。
  • 10°C程度の温度の水で作った「水出し緑茶」の特徴は、茶葉から溶出するカフェインの量を半分程度以下に減らすことができ、カフェインとエピガロカテキンガレート(EGCG)以外の成分(テアニン、エピガロカテキン(EGC)、フラボノールなど)は比較的浸出しやすい(図2A)。浸出時間は冷蔵庫1時間程度で十分であり、それ以上の時間置いても成分濃度はほとんど変化しない。
  • 氷水出し等、水温を0°Cに近づけるほどカフェインの浸出を抑えることができる(図2B)。
  • 10°C程度の水温で「水出し緑茶」にすることにより、免疫調節効果が期待されるEGCに拮抗するEGCGを減らすことができる。
  • 水温を0°Cに近づけることにより、ストレス軽減作用が期待されるテアニンに拮抗するカフェインがさらに減少するため、テアニンの効果を得やすくなる。

普及のための参考情報

具体的データ

図1 ウェブサイトトップ,図2 緑茶の冷水浸出液に含まれるテアニン 、EGC, EGCG, カフェイン

その他

  • 予算区分:交付金、委託プロ(新需要)
  • 研究期間:2005~2017年度
  • 研究担当者:物部真奈美、野村幸子
  • 発表論文等:
    • 物部ら(2016) 茶業研究報告、122(別冊):13
    • 物部(2015)農林水産資源を活用した新需要創出プロジェクト、529:123-128
    • Monobe M. et.al.(2010) Biosci.Biotech.Bioch. 74(12):2501-2503
    • 物部(監修)(2018)お茶屋さんのための水出し緑茶ネタ本、(公社)静岡県茶業会議所