近年、下流河床低下時の取水堰直下洗掘が問題になっている。これまで推計する手段が無かったその洗掘深さを、この問題が起きる現場諸元を概ね網羅して、±10%の精度で推計できる推計式である。これにより下流河床低下が生じた堰の止水壁、護床工等の改修をより適切に行える。
取水堰築造後、砂利採取、治水掘削等による下流河床の低下が堰付近まで波及している事例が全国で多数見られる。このような堰では洪水時に堰直下が大きく洗掘され被害を受けやすい(図1)。これに対し止水壁、護床工を改修し、堰被害を防ぐ必要があるが、それらの設計を適切に行うには、下流河床低下時の堰直下洗掘深さの推計が不可欠である。しかし、そのような推計式はこれまで無い。そこで本研究ではフルード相似則に基づく水理模型実験により推計式を導出、提案する。
ηmx/hc=a・(t・(g/ hc)0.5/103)b
a= 0.1741×( z/ hc) 2 +1.4338×( z/ hc) + 0.7368
b = 0.0163×( z/ hc) 2 - 0.0395×( z/ hc) + 0.0782
ここで、ηmx:最大洗掘深、hc:限界水深(単位幅当たり流量から決まる値)、t:洪水通水時間、g:重力加速度、z:堰エプロンから下流河床までの落差