高糖系ウンシュウにおける強枝梢の摘葉による優良結果母枝の確保

要約

  高糖系ウンシュウでは短く細い弱枝梢は着花しやすく、着生した果実も中玉果となるので、高品質果実連年生産に適した優良な結果母枝となる。太く長い強枝梢を冬季に摘葉すると、翌春にこのような弱枝梢を多く確保できる。

  • キーワード:高糖系ウンシュウ、高品質果実、連年生産、枝梢、摘葉、結果母枝
  • 担当:果樹研・カンキツ研究部・育種研究室
  • 連絡先:成果情報のお問い合わせ
  • 区分:果樹・栽培、九州沖縄農業・果樹、近畿中国四国農業・果樹
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

  高糖系ウンシュウは樹勢が強く着花が不安定なため、隔年結果が著しい。また、強勢な枝に着生した果実は品質の劣る大果になりやすい。そこで、高品質果実を連年安定生産するために、高品質果実の着生する枝梢の形態を明らかにするとともに、優良な結果母枝を多く確保するための枝梢管理法を検討する。

成果の内容・特徴

  • 細い枝(基部径が3mm未満)では太い枝(基部径が3mm以上)に比べて、春季に発生する発育枝の比率が低く、花、特に直花の比率が高い。また、水平及び斜めの枝は直立の枝よりも花の比率が高い(図1)。したがって、連年結実には水平及び斜め向きの細い弱枝梢を多く確保する必要がある。
  • 大玉果(8月下旬の横径が約60mm)は60%以上が5葉以上の有葉果であるのに対し、中玉果(8月下旬の横径が約50mm)は60%以上が直果である。また、中玉果の果こう枝及び母枝は大玉果のそれに比べ、短く細い(表1)。したがって、高品質となる中玉果の生産には短く細い弱枝梢を確保する必要がある。
  • 太く長い強枝梢に対して冬季に全摘葉を行うと、翌年度の発育枝(落花(果)した有葉花(果)の果こう枝を含む)が増加し、特に、優良な結果母枝となる4~10cmの短く細い発育枝が著しく増加する(表2、図2)。

成果の活用面・留意点

  • 摘葉は1年だけでなく、弱枝梢が多く発生する樹相になるまで毎年繰り返し行う。
  • 有葉果の果こう枝のうち、太く直立したものでは摘葉の効果が小さく強枝梢が発生しやすいので、基部から剪除する。
  • 翌年が着花過多と予想される時は摘葉に先端2,3芽の切り返しを組み合わせると、弱枝梢の増加だけでなく春季の着花減少と発育枝増加効果も期待できる。
  • 高糖系ウンシュウの高品質果実の連年生産には摘葉のみでなく弱剪定、有葉花摘らいなどの総合的な管理が必要である。

具体的データ

図1 枝の角度および太さによる着花および発育枝 発生の違い 図2 摘葉処理による発育枝長の分布の差異

 

表1 果実の大きさと直果・有葉果の割合、果こう枝および母枝の特性との関係

 

表2 摘葉処理が「今村温州」の着花および発育枝の発生に及ぼす影響

その他

  • 研究課題名:連年安定生産のための枝梢部等管理技術の確立
  • 課題ID:09-01-04-*-15-04
  • 予算区分:カンキツ連年生産
  • 研究期間:2003~2007年度
  • 研究担当者:稗圃直史、高原利雄、今井 篤、浅川将暁(佐賀県上陽営農セ)、中島貞彦(佐賀県上陽営農セ)
  • 発表論文等:1)浅川ら(2004)九農研66:242.