1994年に九州地域において発生したイネいもち病菌のレース

要約

葉・穂いもち病斑から分離したいもち病菌271菌株は8レースに類別された。007の分離頻度が最も高く65%で、次いで001、003、017、005、037、407、015の順であった。1976、1987年と対比した結果、主要レースの分離頻度は大きく異なっていた。

  • 担当:九州農業試験場・地域基盤研究部・流行機構研究室
  • 連絡先: 096-242-1150
  • 部会名: 病害虫
  • 専門: 作物病害
  • 対象: 稲類
  • 分類: 指導

背景・ねらい

1993年は稲作期間が低温、多降雨、寡照で経過したために、全国的にいもち病が多発生し、作柄低下の大きな原因になった。多発生を助長した原因の一つに近年の栽培品種の抵抗性遺伝子型の種類の変化によるレース分布の変動、圃場抵抗性弱品種の栽培面積の増加が考えられるが、全国規模のレース分布調査は1976年以降行われていなかった。そこで、今後の抵抗性品種の効率的な利用を図るため、1994年に4場所が分担して調査を行った。病害虫防除所の協力を得て、九州・沖縄地域に分布するレースを明らかにした。

成果の内容・特徴

  • 県予察田を主にして葉、穂いもち病斑を採取し271菌株を分離した。レース検定を行った結果、8レースに類別された。九州全体としては007の分離頻度が最も高く65%であり、次いで001(分離頻度21%)、003(7%)、017(4%)、005、037、407(1%)、015の順であった(表1)。
  • 大分県では抵抗性遺伝子Pi-iを持つ品種を侵すレース(005、007、017)の分離頻度は98%であった。
  • 宮崎県では001の分離頻度が最も高かった。早期水稲のコシヒカリに発生した001が普通期水稲の+型のユメヒカリ、ミナミヒカリの発病に関与したためと考えられる。
  • 沖縄県から407が2菌株分離された。同レースはPi-ztに病原性を有し(表2)、1989、1993年にも分離されている。Pi-ztに病原性を有するレースは全国的にみても過去に全くといってよいほど分離されておらず、沖縄県で3年間にわたって分離された原因は不明である。
  • 主要レースの分離頻度は年次によって大きく変動した(図1)。1976年にはレイホウに病原性を有する103の分離頻度は28%であったが、1994年は0%であった。また007は3%から66%に増加した。103の減少はレイホウの栽培面積の減少、007の増加はヒノヒカリの増加と密接に関係している。

成果の活用面・留意点

  • 007の分布密度が高いので、抵抗性遺伝子Pi-iの効果は期待できない。
  • 表2に示したようなPi-z、Pi-ta、Pi-ta2を持つ品種は現段階では圃場において高度な抵抗性を発現すると考えられる。これら品種上で病斑を発見した時には関係機関に連絡する。

具体的データ

表1 1994年に九州地域で分離されたいもち病菌レースの分離頻度

表2 いもち病菌レースに対する品種の反応

図1 九州地域における腫瘍レースの分離頻度の推移

その他

  • 研究課題名:イネいもち病菌のレース分布
  • 予算区分 :経常
  • 研究期間 :平成6年度(平成6年)