ホソヘリカメムシの天敵卵寄生蜂幼虫の寄生卵内での種間競争

要約

ホソヘリカメムシの卵寄生蜂カメムシタマゴトビコバチ、ヘリカメクロタマゴバチ、ホソヘリクロタマゴバチの種間競争は寄生間隔による影響を受け、長い寄生間隔ではカメムシタマゴトビコバチが、短い寄生間隔ではヘリカメクロタマゴバチおよびホソヘリクロタマゴバチが優位であった。

  • 担当:九州農業試験場・地域基盤研究部・害虫行動研究室
  • 連絡先: 096-242-1150
  • 部会名: 総合農業(生産環境)、病害虫
  • 専門: 作物虫害
  • 対象: 昆虫類
  • 分類: 研究

背景・ねらい

ホソヘリカメムシの天敵卵寄生蜂として九州ではカメムシタマゴトビコバチOoencyrtus nezarae、ヘリカメクロタマゴバチGryon japonicum、ホソヘリクロタマゴバチGryon nigricorneの3種が重要である。ダイズ圃場では寄主ホソヘリカメムシ卵をめぐり寄主卵内における卵寄生蜂幼虫間の種間競争が生じる。競争における優劣関係は天敵としての能力を評価する材料となる。そこで、ホソヘリカメムシ卵内での種間競争における優劣関係を調べ、天敵としての競争能力について検討した。

成果の内容・特徴

  • 産卵未経験の3種卵寄生蜂は既寄生寄主卵に対しても産卵行動を示したが、Gryon属の2種卵寄生蜂は寄生後7日目以上の既寄生卵に対しては産卵しなかった(図1、2、3)。
  • カメムシタマゴトビコバチは3日以上の寄生間隔での競争に強く、Gryon属の2種卵寄生蜂が3および7日前に寄生した寄主卵でこれら卵寄生蜂の任意二次寄生蜂となった(図1)。
  • Gryon属の2種卵寄生蜂はカメムシタマゴトビコバチとの競争において0ないし1日の寄生間隔での競争に強く、特にホソヘリクロタマゴバチはヘリカメクロタマゴバチに比べ高い羽化率を示した(図2、3)。
  • ホソヘリクロタマゴバチは近縁種であるヘリカメクロタマゴバチとの競争において産卵した全ての寄生間隔で圧倒的に優位であった(図3)。

以上の結果から、3種卵寄生蜂幼虫の種間競争は寄生間隔による影響を受け、寄生の順序を問わず長い寄生間隔ではカメムシタマゴトビコバチが、短い寄生間隔ではGryon属の2種卵寄生蜂が優位であった。

成果の活用面・留意点

卵寄生蜂の天敵としての能力を評価する上での基礎的なデータとして利用できる。

具体的データ

図1 カメムシタマゴトビコバチの種間競争における羽化率 図2 ヘリカメクロタマゴバチの種間競争における羽化率 図3 ホソヘリクロタマゴバチの種間競争における羽化率

その他

  • 研究課題名:ホソヘリカメムシの卵寄生蜂の生態の解明
  • 予算区分 :経常
  • 研究期間 :平成5年度(平成3~7年)
  • 発表論文等:ホソヘリカメムシの3種卵寄生蜂幼虫の寄主卵内における種間競争、
                      九州病害虫研究会報、40巻、1994