トビイロウンカの抵抗性品種加害性の遺伝率およびバイオタイプの変化

要約

トビイロウンカの抵抗性品種加害性の遺伝率は、西海190号(Bph1保有)に対して0.41、ASD7(bph2保有)に対して0.55であった。抵抗性品種上で加害性バイオタイプの割合は、4~5世代目に50%を越えると予測された。

  • 担当:九州農業試験場・地域基盤研究部・害虫制御研究室
  • 連絡先: 096-242-1150
  • 部会名: 病害虫
  • 専門: 作物虫害
  • 対象: 稲類
  • 分類: 研究

背景・ねらい

トビイロウンカ抵抗性を持つ稲品種を栽培すると、抵抗性品種を加害できるトビイロウンカのバイオタイプが出現することが知られている。したがって、抵抗性品種を有効に利用するためには、栽培品種の変化に伴うウンカのバイオタイプの変化を予測する必要がある。トビイロウンカのバイオタイプの遺伝には、ポリジーン系が関与していることが示唆されている。そこで、量的遺伝学の手法を用いて、本種バイオタイプ形質の遺伝率を推定し、抵抗性品種上での本種個体群のバイオタイプの変化を予測する。

成果の内容・特徴

  • 抵抗性品種上でのウンカの吸汁量(甘露排出量を指標とした)の頻度分布は、明瞭な二蜂型を示し、2つのグループに分かれた。2つのグループ間には、産卵数にも有意な違いがあった。これらの結果から、トビイロウンカのバイオタイプは、抵抗性品種を吸汁できるかできないかという閾値形質として解析すべきであると判断した。
  • 抵抗性品種を加害できる個体の割合(プロビット値に変換)を指標として、親子回帰により推定した抵抗性品種加害性の遺伝率は、西海190号(抵抗性遺伝子Bph1保有)に対して0.41、ASD7(bph2保有)に対して0.55であった(表1)。
  • 単一の抵抗性品種上で世代を繰り返すとき、トビイロウンカ個体群中の抵抗性品種加害性バイオタイプの割合は、4~5世代目に50%を越え、6~9世代目に80%を越えることが予測された(図1)。

成果の活用面・留意点

  • 栽培品種構成の変化に伴うバイオタイプの変化を予測するのに利用できる。ただし、予測の際はウンカの移動性を考慮して広範囲を対象とする必要がある。
  • 抵抗性品種を利用した害虫管理技術を構築するときの基礎資料となる。

具体的データ

表1 親子回帰によるトビイロウンカの抵抗性品種加害性の遺伝率

図1 単一の抵抗性品種上におけるトビイロウンカのバイオタイプの変化

その他

  • 研究課題名:害虫のバイオタイプ出現機構の解明
  • 予算区分 :一般別枠(地球環境変化)
  • 研究期間 :平成6年度(平成2~8年)
  • 発表論文等:トビイロウンカのバイオタイプ形質の遺伝解析、第38回日本応用動物昆
                      虫学会大会講要、1994