代かき同時土中点播機の麦・大豆施肥播種への兼用化技術

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要約

水稲直播用打込み式代かき同時土中点播機の播種機の部品を一部交換することにより麦・大豆の施肥播種作業ができる。播種機は汎用ブラケットを用いて代かきロータリと連結し、稲用から麦・大豆用への変更時に部品交換と播種機の位置及び傾斜角度の調整を行う。

  • キーワード:直播、水稲、麦類、大豆、播種、代かき同時土中点播機
  • 担当:九州沖縄農研・水田作研究部・機械化研究室
  • 連絡先:0942-52-0692
  • 区分:九州沖縄農業・農業機械・土木
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

稲・麦・大豆輪作体系の低コスト化を促進するため、水稲専用機として使用されている打込み式代かき同時土中点播機を麦・大豆兼用機として使用できることが求められていた。

成果の内容・特徴

  • 水稲直播用打込み式代かき同時土中点播機の部品の一部を交換することにより麦・大豆施肥播種作業ができる(図2、図3)。主な変更作業は、打込みディスク、打込みディスク駆動モータ等の取り外しと市販の播種機下部ユニットの取り付けである。作業時間は8条用播種機で10~20分程度である。
  • 播種機の位置(高さ)変更、播種深度調整のための播種機の傾斜角変更のため、代かきロータリと播種機の連結には新たに開発した汎用ブラケット(図1)を用いる。播種機の位置は上部のネジで、播種深度は下部のネジで調整する。
  • 麦・大豆播種時の条間、株間、播種量、播種深度等は地域の慣行に応じて適宜調整する。
  • 麦播種時に水稲点播用播種ロールを使用した場合、株間を25cm以上、作業速度を0.5m/s以下とするとほぼ点播形状になる。
  • 水稲播種作業で使用する作業行程マーカを麦・大豆播種作業時のセンターマーカとして使用することができる(図2、図3)。

成果の活用面・留意点

  • 麦・大豆播種作業時の代かきロータリの耕深制御には市販のオート機構を利用する。この機能が無いとトラクタのピッチング等の影響を受け耕深及び播種深度が不安定となる。
  • 施肥・播種同時作業には肥料繰出しロール(横溝ロール)付きの点播ロールを用いる。
  • 点播ロールを用いて大豆を播種することは可能でありブラシとロールの隙間を広げることで播種量が増加するが、ロール回転数の増加による播種量の減少が大きいため、肥料繰出し側(横溝ロール側)を播種ロールとして利用することを薦める(表1)。なお、大豆の施肥・播種同時作業を行う場合は両側が横溝ロールになっている市販の繰出しロールを用いる。
  • ディスク形の作業行程マーカを麦・大豆播種時に使用する場合は、作業時のディスクの位置をやや高く設定する。また、マーキングの位置を5cm程度外側にするとチェーンケース等による前行程播種種子の攪乱が起こりにくい。

具体的データ

図1.汎用ブラケットによる播種機の兼用化

 

図2.麦播種作業 図3.大麦播種作業

 

表1.大豆種子繰出し量

その他

  • 研究課題名:代かき同時土中播種機の多機能化技術の開発
  • 予算区分:21世紀プロ7系
  • 研究期間:1997~2003年度
  • 研究担当者:田坂幸平、吉永悟志、松島憲一、関 正裕、高橋仁康、脇本賢三