でん粉原料用カンショ新品種「ダイチノユメ」

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要約

カンショ「ダイチノユメ」は、上いも収量とでん粉歩留がともに高いため、単位面積当たりのでん粉生産能力が非常に優れる。また、貯蔵性、センチュウ抵抗性も優れる。でん粉原料用として、南九州のカンショ作地域に適する。

  • キーワード:カンショ、でん粉、原料用、多収、貯蔵性
  • 担当:九州沖縄農研・畑作研究部・サツマイモ育種研究室
  • 連絡先:電話0986-22-1506、電子メールwkynndk@affrc.go.jp
  • 区分:九州沖縄農業・畑作、作物・夏畑作物
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

でん粉原料用カンショの厳しい状況を打開するためには、原料いもを低コストで生産する必要があり、原料用品種「コガネセンガン」「シロユタカ」より、高でん粉、多収で、単位面積当りのでん粉生産能力が優れる品種が要望されている。平成12年に育成した「コナホマレ」は、でん粉生産能力は非常に優れるが、貯蔵中の腐敗や晩期収穫で軟腐病が問題になることがある。そこで、貯蔵性、病虫害抵抗性が優れ、でん粉生産能力の高い原料用品種を育成する。

成果の内容・特徴

  • 「ダイチノユメ」は、平成2年に「九系117」を母、「ハイスターチ」を父として交配し、選抜した系統である。
  • 切干歩合(乾物率)、でん粉歩留は、「コガネセンガン」より2~3ポイント高く、「コナホマレ」なみである。
  • 上いも重、でん粉重は「コガネセンガン」より優れ、多収である。
  • 透明マルチ栽培では、「コナホマレ」のいも重、でん粉重を下回るが、無マルチ栽培では「コナホマレ」なみである。
  • 貯蔵性は「やや易」で、「コガネセンガン」「コナホマレ」より貯蔵しやすい。
  • 病虫害抵抗性は、サツマイモネコブセンチュウに「強~やや強」、ミナミネグサレセンチュウに「やや強」、黒斑病に「弱~やや弱」である。

成果の活用面・留意点

  • 南九州のでん粉原料用カンショ作地域に適する。
  • いもが長くなりやすいので(特にマルチ栽培において)、掘取の際には注意を要する。
  • 主な普及見込み地帯の鹿児島県では早期収穫では概して「コナホマレ」の収量性が高いことより、本系統は主として晩期収穫用として活用する。
  • 黒斑病抵抗性が「弱~やや弱」であるので、同病害の多発地帯では防除に努める。

具体的データ

表1.九州123号の特性概要

その他

  • 研究課題名:暖地向き優良かんしょ品種の育成
  • 予算区分:経常、交付金
  • 研究期間:1991~2002年度
  • 研究担当者:中澤芳則、山川 理、熊谷 亨、甲斐由美、石黒浩二、吉永 優、日高 操、片山健二、外山 潤