ホソヘリカメムシ合成集合フェロモン(3成分)は成分を1つ減らしても誘引力は同等

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要約

ホソヘリカメムシ合成集合フェロモン(3成分)の主成分に他の2成分をそれぞれ混合すると誘引力が著しく高まる。2成分の誘引力は現行3成分と同等であることから、モニタリングには2成分で十分である。

  • キーワード:集合フェロモン、ホソヘリカメムシ
  • 担当:九州沖縄農研・地域基盤研究部・害虫生態制御研究室
  • 連絡先:電話096-242-7732、電子メールenobu@affrc.go.jp
  • 区分:九州沖縄農業・病害虫
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

ホソヘリカメムシ集合フェロモンは3成分の混合物(tetradecyl isobutyrate (14iBu), (E )-2-hexenyl (E )-2-hexenoate (EE), (E )-2-hexenyl (Z )-3-hexenoate (EZ); 14iBu:EE:EZ = 1:5:1)から成り、上記の成分・構成比の混合物が市販されている。このうち、14iBuが単独で誘引性を有するが、EE、EZの必要性および構成比に ついては十分検討されていない。そこで、より効率的、経済的なモニタリングを実現する目的でEE、EZが様々な構成比の混合物に対するホソヘリカメムシの 誘引効果について検討する。

成果の内容・特徴

  • 14iBuにEEを混合することにより、14iBu単独に比べ誘殺数が増加するが、EEの添加量と誘殺数については有意な関係が認められない(図1)。
  • 14iBuにEZを混合することにより、14iBu単独に比べ誘殺数が増加するが、EZの添加量と誘殺数については有意な関係が認められない(図2)。
  • ホソヘリカメムシ集合フェロモンの現行成分比(14iBu:EE:EZ = 1:5:1)とまったく異なる2成分(14iBu:EEまたは14iBu:EZ = 2:1)が現行成分比と同等の誘引力を示すことから(図3)、発生予察などのフェロモン利用には2成分で十分である。

成果の活用面・留意点

  • 現在3成分の混合物(14iBu:EE:EZ = 1:5:1)がホソヘリカメムシ誘引剤として市販されているが、2成分(14iBu:EEまたは14iBu:EZ = 2:1)でも誘引剤として活用できることから、低コストな誘引剤の開発が可能である。

具体的データ

図1.現行フェロモンおよび2成分(14iBu+EE)によるホソヘリカメムシ平均誘殺数 図2.現行フェロモンおよび2成分(14iBu+EZ)によるホソヘリカメムシ平均誘殺数 図3.異なる2成分および3成分によるホソヘリカメムシ平均誘殺数

その他

  • 研究課題名:生理活性物質等を利用したダイズ害虫の行動制御
  • 課題ID:07-08-03-02-12-05
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2003∼2005年度
  • 研究担当者:遠藤信幸、和田 節、水谷信夫(中央農研)、守屋成一(中央農研)
  • 発表論文等:1)Endo et al. (2005) Appl. Entomol. Zool. 40:41-45.