多収で収穫しやすいサトウキビ新品種候補「KR96-93」

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要約

「KR96-93」は、沖縄県宮古地域での夏植え栽培において、1茎重、原料茎重が大きく、可製糖量が多い。葉焼け病に強く、脱葉性が良好で収穫しやすい。

  • キーワード:サトウキビ、多収、夏植え、宮古地域、脱葉性
  • 担当:九州研・バイオマス・資源作物開発チーム
  • 代表連絡先:電話0997-25-0100
  • 区分:九州沖縄農業・畑作、作物・夏畑作物
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

宮古地域では夏植え中心のサトウキビ栽培が実施され、その多くは手刈り収穫されている。ここで最大の栽培面積を有する「宮古1号」は、難脱葉性で側枝も発生するため収穫に労力を要し、作業量の増大を通じてコスト高を招いている。また、葉焼け病が多発することから、病害の発生原因となっていることが問題視されている。このため、収量および品質が「宮古1号」と同等以上で、脱葉性が良くて収穫し易く、葉焼病に抵抗性を有する品種の開発が求められている。

成果の内容・特徴

  • 「KR96-93」は、「NiF8」を種子親、「RF79-247」を花粉親として得た種子を1996年に実生選抜に供試して以降、収量性と高糖性を重視して選抜した系統である(表1)。
  • 宮古島における夏植えでは、甘蔗糖度が「宮古1号」と同等以上で、原料茎重が大きく、可製糖量が多い。春植えおよび株出しにおいても同様に「宮古1号」より多収である。
  • 脱葉性は「NiF8」と同等な“易”と優れており「NiF8」同様に手刈り・機械収穫ともに収穫しやすい(表1)。特に、1茎重が大きな偏茎重型で手刈り収穫時の作業効率がよい(表1、図2)。
  • 葉焼け病抵抗性は“強”で、他の病害を含めて葉身に発生する病害は少ない(表1、図1)。

成果の活用面・留意点

  • 沖縄県宮古地域を対象にした夏植え向け奨励品種として「宮古1号」を置き換え対象に約1000haの普及が見込まれている。
  • 春植えでの新植、特に遅い植え付けは、台風による折損が生じる恐れがあるので避ける。

具体的データ

表1.サトウキビ新品種候補「KR96-93」の特性概要

図1.「KR96-93」の立毛状況(平成20年2月、育成地、春植え) 左:KR96-93    右:NiF8

図2.「KR96-93」の茎(平成20年2月、育成地、春植え) 左:KR96-93 右:NiF8

その他

  • 研究課題名:サトウキビの収穫期間拡張に向けた株出し安定多収性品種の育成
  • 課題ID:211-g
  • 予算区分:基盤
  • 研究期間:1995~2008年度
  • 研究担当者:寺内方克、松岡誠、寺島義文、境垣内岳雄、杉本明、氏原邦博、伊禮信、下田聡、前田秀樹