カリフラワーのスプラウトはビタミンCが多く受光量に伴い含量は向上する

要約

カリフラワーのスプラウトは、ブロッコリーなど他のスプラウトと比較してビタミンC含量が1.4倍以上多い。蛍光灯を用いた試験では、強い光を6日間連続で当てて栽培することでカリフラワースプラウトのビタミンC含量はさらに多くなる。

  • キーワード:植物工場、カリフラワー、スプラウト、ビタミンC、アスコルビン酸
  • 担当:食品機能性・代謝調節利用技術
  • 代表連絡先:q_info@ml.affrc.go.jp、FAX:096-242-7769、TEL:096-242-7682
  • 研究所名:九州沖縄農業研究センター・作物開発・利用研究領域
  • 分類:研究成果情報

背景・ねらい

温暖化や豪雨など、気候変動による農業の生産力の低下が危惧される状況から、天候に左右されずに屋内で安定的に野菜などを栽培できる植物工場が注目されている。植物工場で主に栽培される葉物野菜は養液を用いるリーフレタスが主流だが、レタスよりも短期間で手軽に、肥料を用いず水だけで栽培出荷が可能なスプラウト類もまた対象となり得る。
日本国内で生産されるスプラウトは、かいわれだいこんをはじめとして大半がアブラナ科に属し、アブラナ科野菜は他の葉物野菜と比較してビタミンCが多いという特徴がある。そこで、広くアブラナ科野菜のスプラウトからビタミンC含量の多い種を選抜し、さらに光の強さと光を当てる時間からビタミンC含量を高める栽培条件の検討を行う。

成果の内容・特徴

  • アブラナ科アブラナ属の野菜種子28種類とアブラナ科ダイコン属の種子8種類について、屋内の自然光下でスプラウトを栽培しビタミンC含量を測定すると、カリフラワー(A、B、C3品種)のスプラウトはブロッコリーなど他のスプラウトと比較して単位新鮮重量(FW)当たり1.4倍以上ビタミンC含量が多い(図1)(表1)。
  • 供試したアブラナ科以外のスプラウト(8種類)よりもアブラナ科スプラウトの方がビタミンC含量は多い(図1)。
  • アブラナ科アブラナ属のカリフラワーとブロッコリーの種子を用いてスプラウトを栽培すると、蛍光灯を用いた試験では、強い光(光合成光量子束密度(PPFD)160μmol/m2/s)を6日間連続で当てて栽培することでスプラウトの1本当たりの重量は多くなり、1本当たりのビタミンC含量及び単位新鮮重量(FW)当たりのビタミンC含量も多くなる(表1)。

成果の活用面・留意点

  • カリフラワースプラウトは植物工場等の屋内で天候に左右されずに生産でき、サラダ等に用いてビタミンCの摂取量を増やすことができる生鮮野菜として有用である。
  • ブロッコリーのスプラウトはすでに市販されている。カリフラワーもスプラウト用の種子が安価に大量に生産可能となることで実用化できる。
  • 一般に食する花序(花蕾)のビタミンC含量は、カリフラワーよりもブロッコリーの方が多い。
  • 発光ダイオード(LED)等の高効率光源との代替により省電力栽培が可能であるが、蛍光灯よりも明るい光源ではスプラウトが徒長せず商品性を損なう可能性がある。
  • ビタミンC含量は還元型アスコルビン酸と酸化型アスコルビン酸含量の合計値である。アブラナ科スプラウトにおいて、総アスコルビン酸のうち抗酸化作用に優れる還元型のL-アスコルビン酸の割合は74~94%である。

具体的データ

図1,表1

その他

  • 中課題名:代謝調節作用に関する健康機能性解明と有効利用技術の開発
  • 中課題整理番号:310b0
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2012~2014年度
  • 研究担当者:澤井祐典、沖智之、西場洋一、奥野成倫、須田郁夫、渡辺慎一
  • 発表論文等:澤井ら(2014)食科工、61(6):218-222