陸稲農林12号が保有するいもち病圃場抵抗性の遺伝解析

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要約

陸稲農林12号のいもち病抵抗性には、少なくとも2個のQTLが関与する。2個のQTLうち、qBFR 11の座乗位置は、既知の抵抗性遺伝子Pi34とほぼ同じである。

  • キーワード:いもち病圃場抵抗性、陸稲農林12号、QTL解析、イネ
  • 担当:作物研・稲マーカー育種研究チーム
  • 連絡先:電話029-838-8950、電子メールnics-seika@affrc.go.jp
  • 区分:作物・稲
  • 分類:研究・参考

背景・ねらい

陸稲農林12号が強度のいもち病圃場抵抗性を保有することは、広く知られているが、抵抗性に関する遺伝子分析は行われていない。水稲にいもち病圃場抵抗性を導入するために、陸稲農林12号と水稲品種コシヒカリの交配に由来するF2集団及びF3系統群を用いて、いもち病圃場抵抗性に関するQTL解析を行う。

成果の内容・特徴

  • 陸稲農林12号の持ついもち病圃場抵抗性には、少なくとも第3及び11染色体上の2個のQTL(qBFR 3及びqBFR 11) が関与しており、作用力が大きなQTLであるqBFR 11の座乗位置は、既知のいもち病圃場抵抗性遺伝子Pi34とほぼ同じである(図1)。
  • Pi34を保有する水稲中部32号を侵すいもち菌株IBOS8-1-1に対して、qBFR 11のみを保有する系統は、この菌株に対して抵抗性を示すことから、qBFR 11はPi34とは異なる遺伝子とみられる(図2)。

成果の活用面・留意点

  • 陸稲農林12号に由来する2個のQTL (qBFR 3及びqBFR 11)は、いもち病抵抗性の遺伝子源として水稲育種に利用できる。
  • 2個のQTL近傍のSSRマーカー(RM2334及びRM5349)は、抵抗性QTLの選抜マーカーとして利用できる。
  • qBFR 11のいもち菌株(IBOS8-1-1)に対する反応に関しては、qBFR 11の同質遺伝子系統を用いて再度確認する必要がある。

具体的データ

図1.陸稲農林12 号に由来するいもち病圃場抵抗性QTL の座乗位置

図2.ガラス室内におけるいもち菌株(IBOS8-1-1)の接種試験

その他

  • 研究課題名:新規抵抗性遺伝子を導入した同質遺伝子系統群の育成
  • 課題ID:221-g
  • 予算区分:ゲノム育種
  • 研究期間:2004~2006年度
  • 研究担当者:佐藤宏之、竹内善信、平林秀介、根本 博、平山正賢、加藤 浩、井辺時雄、安東郁男
  • 発表論文等:Sato et al. (2006) Mapping QTLs for Field Resistance to Rice Blast in the Japanese
                      Upland Rice Variety Norin 12. Breeding Science 56:415-418.