多目的利用のための土壌肥沃度データベースシステム

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要約

東北6県の土壌環境基礎調査データから選択した分析項目からなる土壌肥沃度データベースで、市販の表計算、データベース、グラフィックソフトを用いることで、東北各地の耕地土壌の多目的な資源評価が可能である。

  • 担当:東北農業試験場・農村計画部・資源評価研究室
  • 連絡:0196-43-3496
  • 部会名:生産環境
  • 専門:資源利用
  • 分類:研究

背景・ねらい

東北地域に広く分布する様々な土壌資源を、作物生産場としてだけでなく、物質やエネルギーの循環及び蓄積、有害物質の吸着や分解、さらに有用物質の合成等複合的な場としてとらえ、その多目的利用のための資源評価法の開発を行う。このため、既存のデータを活用し、EPICやIBSNATモデルを用いた土壌侵食量や作物収量予測による土壌資源の評価等の目的に応じた評価が簡単にできるデータベースの作成が必要である。

成果の内容・特徴

  • 本データベースは、東北6県の定点調査における重要及び一般調査地点の断面データを用いて作成してある。入力データの調査項目は1地点につき20以上(表1)、総データ数は約50万となったが、使用頻度等を考慮して各県ごとの小データベースに分割してある。これはdBaseIIIplusで作成してあり、目的に応じて市販のコンピューターソフトを用いて、様々な統計解析やグラフィックプレゼンテーションが可能である。
  • 本データベースを利用し、東北地域の窒素とリン酸蓄積量を調査項目の平均値から各県別に単純計算すると、全耕地土壌中に蓄積されている全窒素量は385万トン、可給態窒素は15万トン、可給態リン酸はTruog法で40万トンと推定される(表2)。
  • 各調査項目について土壌群間や土地利用による相違、あるいは経年変動などの解析ができる。

成果の活用面・留意点

  • 本データベースは、作付データや気象データを組み合わせ、USDAの開発したEPICモデルによる土壌侵食量予測やリン酸の循環機構解明、さらにハザード・マップの作成や開発可能地の策定等、土地資源の有効活用に利用できる。
  • 定点調査の三巡目データは、現在ハードコピーで一般に入手できない。使用に際しては各県担当者の許可を得る必要がある。

具体的データ

表1.肥沃度データベースの調査項目

 

表2.東北地域土壌TY宇の植物養分の蓄積量

 

その他

  • 研究課題名:多目的利用の為の地域土壌資源評価
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成7年度(平成4年~7年度)
  • 発表論文等:東北地域の主要な耕地土壌資源の評価,東北農試研究報告,88,1994