画像テクスチャ解析法を利用したクローバ率推定法の開発と適用性

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

画像解析法(テクスチャ解析)によりマメ科牧草シロクローバの重要形質であるクローバ率について非破壊的に簡便・迅速に評価することが可能である。画像データーのサンプリングの適期は植物体の相互遮蔽が生じない成育期とする。

  • 担当:東北農業試験場・草地部・上席研究管室岩手大学農学部・農業生産環境学科
  • 連絡先:019-643-3565
  • 部会名:畜産(草地)
  • 専門:育種
  • 対象:牧草
  • 分類:研究

背景・ねらい

環境保全を重視した草地における粗飼料の低コスト・合理的生産、高品質化を図るには飼料価値の高いマメ科牧草シロクローバの有効利用が極めて重要となる。シロクローバのイネ科牧草との混播適性は重要な形質であるが、その評価には多大な労力と時間を必要としており、大規模な育種資源についてクローバ率を検定することは困難である。最近、画像解析法が発達し、コンピューターを利用した形状認識による葉形の区別が容易となった。そこで、クローバ率の推定法として画像解析法(テクスチャ解析)の適用を検討し、非破壊的に推定可能な手法(分析ソフト等)を開発する。

 

成果の内容・特徴

  • 牧草の混生画像の解析法のなかでパワースペクトラム法(Power Spectrum Method, PSM)を用いた画像分析が最も有効である。
  • 牧草の生育条件は多様であるから、撮影条件の影響を最小限とするパワースペクトラム法を基本とする画像解析プログラムの開発を行い(プログラム開発者:岩手大学・庄野浩資氏)、これを用いてクローバ率の推定が可能である。
  • 撮影は1m2のコドラートを2.3mの高さより撮影し、スライド画像をコンピューターに取り込みグレースケール画像データー化する。1画像データーを 48分割し、庄野式フーリエー関数分析法により形状認識判別を行い、統計分析積プログラムによりクローバー率を推定する(図1) 。
  • 本画像解析法を用いてチモシーとシロクローバ(小葉型)との組合わせでクローバ率は相関係数0.48~0.94の条件で推定が可能である (表1、図2)。

成果の活用面・留意点

  • シロクローバ及びバーズフットトレフォイルとイネ科チモシーとの混生群落のクローバ率及びBT率を圃場画像により推定することができる。
  • 画像解析(テクスチャ)プログラムはMac用で、iMac上で十分に利用できる。
  • 画像データーの撮影時期は植物個体間の相互遮蔽が少ない生育期に行う。

具体的データ

図1.画像を利用したシロクローバ推定法の手順

 

表1.クローバ率推定値と実測値の相関と2重誤差(RMSE)図2.クローバ率推定値と実測値の関係

 

 

その他

  • 研究課題名:牧草育種法の開発-画像解析にようクローバ率推定法
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成11年度(平成3年~12年度)
  • 発表論文等:
    近接圃場画像を用いた牧草群落の成育型調査におけるパワースペクトラム法の有効性、生物環境