東北地域におけるスルホニルウレア系除草剤抵抗性水田雑草の確認状況

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要約

水田雑草のスルホニルウレア系除草剤抵抗性バイオタイプの確認事例は、2003年までに東北6県で514件に及び、イヌホタルイとアゼナ類 では東北全県に及ぶ。抵抗性バイオタイプは4割以上の市町村で確認され、直播栽培や減農薬栽培を行う市町村でも確認される。

  • キーワード:イヌホタルイ、アゼナ類、スルホニルウレア系除草剤抵抗性、直播、減農薬
  • 担当:東北農研・水田利用部・雑草制御研究室
  • 連絡先:電話 0187-66-2771、電子メール uchino@affrc.go.jp
  • 区分:東北農業・水稲、共通基盤・雑草
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

水田雑草におけるスルホニルウレア系除草剤抵抗性バイオタイプは1995年頃から北日本を中心に確認され始め、最近はイヌホタルイやコ ナギなどの主要雑草にも抵抗性バイオタイプが確認される。抵抗性バイオタイプに有効な除草剤は、水稲移植栽培では数多くの登録があ るが直播栽培や減農薬栽培では極めて限られており、直播栽培や減農薬栽培では特に抵抗性バイオタイプの発生が懸念されている。本調 査では、1996年から2003年までに抵抗性バイオタイプが確認された事例をまとめ、今後の防除対策に活用する。

成果の内容・特徴

  • スルホニルウレア系除草剤抵抗性の発生が疑われる水田について、2003年までに東北6県をあわせて736件の抵抗性検定試験が行われ 、そのうちの514件で水田雑草の抵抗性バイオタイプが確認されている(表1)。
  • イヌホタルイとアゼナ類の抵抗性バイオタイプは東北地域の全県で認められる(表1)。
  • 市町村別に確認事例を集計すると、検定試験数が多い県では県全体の6~7割の市町村で抵抗性バイオタイプが確認され、東北全体で は4割以上の市町村で確認される(表2)。
  • 直播栽培や減農薬栽培が行われている市町村でも抵抗性バイオタイプが多く確認されている(表3)。

成果の活用面・留意点

  • 草種別の抵抗性バイオタイプの発生を考慮に入れ,抵抗性バイオタイプに有効な除草剤を含めた除草体系を東北全域で構築する必要 がある。
  • 直播栽培や減農薬栽培では今のところ抵抗性バイオタイプに有効な除草剤が限られるため、有効な除草剤を含む除草体系とのローテ ーションを行うなど、抵抗性バイオタイプの出現を未然に防ぐよう特に注意する。
  • この成果情報は、抵抗性バイオタイプの発生が疑わしい水田について東北各県及び東北農業研究センターが独自に検定試験を行った 結果に基づくものである。実際の発生状況の把握には、未検定地域の調査も含めた網羅的な検定試験を必要とする。

具体的データ

表1 東北6県のスルホニルウレア系除草剤抵抗性バイオタイプの確認件数(1996-2003年)

 

表2 スルホニルウレア系除草剤抵抗性バイオタイプが確認された市町村の割合

 

表3. 直播栽培,減農薬栽培が行われている市町村での抵抗性確認件数

 

その他

  • 研究課題名:水田雑草における除草剤抵抗性個体出現頻度の推定
  • 課題ID:05-02-07-*-07-03
  • 予算区分:科研費
  • 研究期間:2003年度
  • 研究担当者:内野彰、渡邊寛明、菊池晴志(青森農林総研)、三浦嘉浩(青森農林総研)、尾形茂(岩手農研)、臼井智彦(岩手農 研)、吉田(古川農試)、谷なつ子(古川農試)、三浦恒子(秋田農試)、田口奈穂子(秋田農試)、矢野真二(山形農試)、伊藤博樹 (福島農試)、新田靖晃(福島)