自家消費用および贈答用リンゴに対する消費者ニーズ

要約

自家消費用リンゴには「気軽に色々と食べたい」というニーズがあり、季節感のある品揃えや購入しやすい価格の設定が求められる。贈答用リンゴには「相手に喜んでもらいたい」というニーズがあり、セット内容の工夫や話題性のある商品づくりが求められる。

  • キーワード:評価グリッド法、自家消費用、贈答用、消費者ニーズ、リンゴ
  • 担当:東北農研・東北地域活性化研究チーム
  • 代表連絡先:電話019-643-3494
  • 区分:東北農業・基盤技術(経営)、共通基盤・経営
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

リンゴは自家消費用と贈答用との2通りの用途で購入が行われており、その消費者ニーズも用途によって異なると考えられる。しかし、具体的にどのようなニーズがあるかを明らかにした研究はない。そこで、評価グリッド法(比較対象物を消費者に提示して比較評価させ、その評価判断の理由を聞くことによって評価項目と評価構造を明らかにする手法)を用いて、いわて生協組合員10名を対象に自家消費用リンゴおよび贈答用リンゴに対する評価構造と消費者ニーズの解明を試みる。

成果の内容・特徴

  • 自家消費用リンゴの比較対象物は記帳調査の結果をもとに、品種、数量、価格、購入先、産地、生産・出荷元、その他を組み合わせて作成した20枚のカードである。贈答用リンゴの比較対象物は実際に配布されたカタログのコピーを利用した60アイテムである(調査・分析の流れは図1)。
  • 自家消費用リンゴに対しては、あまりお金をかけたくない、気軽にたくさん食べたいという理由から手頃な価格が求められる。品種については、好きな品種以外に、季節感を味わいたい、色々な味を楽しみたいという理由から様々な品種が求められる。数量については、3~5個程度の袋売りが人気で、割安であること、たくさん食べられる一方ですぐに食べきれる量であることがその理由としてあげられる。表示やコメントも、おいしそう、安心、納得して買いたいという理由から評価される(表1)。
  • 贈答用リンゴに対しては、たくさんの人に贈りたいという理由から歳暮として手頃な価格が望まれる。また、地元のもの・県内のおいしい物を贈りたいという気持ちから県内産が評価される。数量については相手の消費を考慮して大玉で数は少なめを望む声が多い。他の果物とのセットや数種類の品種のセットは、相手が楽しめる、県内の人や家族が少ないところによいという理由で評価される。また、カタログに関しては、写真やネーミングがよいことや商品の説明がされていることが、安心して贈ることができる、話の種になる、高級感が出る、おいしそうということで評価を高める(表1)。
  • これらの理由から以下のニーズを読み取ることができる。自家消費用リンゴに対しては「気軽に色々と食べたい」というニーズがあり、季節感のある品種の品揃えや商品の説明、購入しやすい価格の設定などが求められる。贈答用リンゴに対しては、「相手に喜んでもらいたい」というニーズがあり、食べきりやすい量での提供やセット内容の工夫、話題性のある商品づくりと、その特徴を積極的にアピールすることが求められる。

成果の活用面・留意点

  • リンゴの販売戦略を考える際の参考となる。なお、他の作物について消費者ニーズを調べる際には、調査主体の目的にあわせて評価対象品目および調査対象を選定する必要がある。
  • 評価グリッド法の詳細については、日本建築学会編「環境心理調査手法入門」技法堂出版、57-64を参照。

具体的データ

図1 評価グリッド法を用いた調査・分析の流れ

表1 評価グリッド法に基づく自家消費用・贈答用リンゴの評価構造

その他

  • 研究課題名:東北農業の動向解析に基づく新たな担い手像の解明と地域食材を活かした産地戦略による地域活性化手法の開発
  • 中課題整理番号:211a.2
  • 予算区分:基盤
  • 研究期間:2007~2009年度
  • 研究担当者:磯島昭代
  • 発表論文等:磯島(2009)東北農業経済研究、27(2):33-40