アントシアニン高含有チャ育成のための「茶中間母本農6号」(旧系統名 F95181)

要約

チャの近縁野生種Camellia taliensis とチャの 「おくむさし」の種間交雑から新芽のアントシアニン含有率が高い「茶中間母本農6号」を育成した。この系統を母本に用いると、アントシアニン含有率が0.7%以上の高含有個体を高い頻度で作出することができる。

  • キーワード:チャ、アントシアニン、タリエンシス、近縁野生種、種間交雑
  • 担当:野菜茶研・茶業研究部・育種素材開発チーム
  • 連絡先:電話 0993-76-2126 、電子メール akikoogi@affrc.go.jp
  • 区分:野菜茶業・茶業
  • 分類:科学・普及

背景・ねらい

アントシアニン色素は着色剤として食品、化粧品等に利用されているが、最近では抗酸化性や抗変異性等の機能性が明らかにさ れるようになり、注目を集めている。チャの新たな利用分野を開拓するためにチャの近縁野生種等を用いて生育旺盛なアントシアニン高含有系統を作出するため の中間母本を育成する。

成果の内容・特徴

  • チャの近縁野生種のタリエンシス(Camellia taliensis )とチャ(品種:「おくむさし」)の種間交雑から育成した「茶中間母本農6号」は、紅花チャ(Camellia sinensis )と同等の含有率(0.37%)を持つアントシアニン高含有系統である(図1、表2)。「茶中間母本農6号」の栽培形質は、早晩性が中生、樹勢は強く樹姿はやや直立である。新芽の色は赤紫色で、収量はやや多収。炭疽病と輪斑病には抵抗性があるが、赤葉枯病にはやや弱い。耐寒性は中程度である(表1)。
  • 新芽の化学成分は、アミノ酸類の含有率が1.41%、個別アミノ酸ではテアニンが1.06%である。カフェインは2.21%、カテキン類は13.52%で、いずれもチャと比べるとやや低い(表2)。
  • 「茶中間母本農6号」の自然交雑後代では、0.7%を越えるアントシアニン高含有個体の出現率は1%程度であるが、アントシアニン含有率の高い系統を片親に用いると0.7%を越える個体の出現率は16%と高くなる(図2)。

成果の活用面・留意点

  • 「茶中間母本農6号」はやや耐寒性が弱いので片親には耐寒性の強い親を選ぶのが望ましい。
  • アントシアニン含有率の高い品種を交配相手に用いると、アントシアニン高含有個体の得られる確率が高くなる。
  • 交配親としては、種子親・花粉親どちらにも利用可能で、十分稔性がある。

具体的データ

図1  F95181の新芽

表1 F95181の栽培形質特性

表2  F95181の成分特性(乾物%)

図2  F95181交雑後代のアントシアニン含有率の分布

その他

  • 研究課題名:チャおよび近縁種を利用した新用途向き系統の育成
  • 課題ID:11-08-01-01-01-03
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:1997~2005年度
  • 研究担当者:武田善行、荻野暁子、田中淳一、吉田克志、谷口郁也
  • 発表論文等:武田ら (2003) 茶研報 No.96(別):96-97.