極晩抽性の中間母本候補「ハクサイ安濃10号」

要約

「ハクサイ安濃10号」は、長日のみで花芽分化する「つけな中間母本農2号」を育種素材とした極晩抽性ハクサイである。本系統は、既存の晩抽性ハクサイ品種より晩抽性が勝っており、晩抽性育種素材として実用品種の育成に利用できる。

  • キーワード:ハクサイ、晩抽性、育種素材
  • 担当:野菜茶研・葉根菜研究部・アブラナ科育種研究室
  • 連絡先:電話050-3533-3863、電子メールryutoku@affrc.go.jp
  • 区分:野菜茶業・野菜育種
  • 分類:科学・普及

背景・ねらい

春どりハクサイは、冬期の低温により花芽が分化し、収穫前の早期抽だいが問題となる。現在市販されている晩抽性品種を用いても、早期抽だいが生じることがあり、これを避けるために幼苗期の加温育苗やトンネル栽培が行われている。一方、野菜茶業研究所では、長日のみで花芽分化する極晩抽性系統「つけな中間母本農2号」を育成した。そこで、このツケナの有する極晩抽性をハクサイに導入することで、加温あるいは保温資材を必要としない極晩抽性ハクサイの中間母本系統を開発する。

成果の内容・特徴

  • 1988年に極晩抽性系統「つけな中間母本農2号」に日本型ハクサイを交配し、後代で晩抽 性の個体選抜を繰り返すことにより、2000年にF5世代で結球形状が日本型ハクサイに近い極晩抽性ハクサイ系統を得た(図1)。
  • 「ハクサイ安濃10号」の晩抽性は、市販の晩抽性ハクサイ品種「はるさかり」よりも強い。また、当研究室で育成した抽だいに対する低温要求量の多い、「はくさい中間母本農6号」よりさらに晩抽性が強い(図2)。
  • 両親の抽だい性、F1およびF2における抽だい性の分離状況から、「ハクサイ安濃10号」の有する晩抽性は、比較的少数の遺伝子が関与し、次世代に遺伝する。分離世代であるF2において、「ハクサイ安濃10号」の晩抽性と同程度のものが約10%出現するので、育種操作で多数の個体を扱うことが比較的容易なハクサイの場合、選抜に十分な数の晩抽性個体を得ることが可能である(図2)。
  • ハクサイとしては、球型が縦長であること、晩生であること、結球の締まりがゆるいこと等実用形質にはなお改良の余地がある(表1)。

成果の活用面・留意点

  • 本極晩抽性は、秋まき、早春まきの作型に適する。
  • 軟腐病に抵抗性を持たないので、高温期には薬剤防除が必要である。
  • 冬期の露地栽培では非結球となることがあるので、保温資材を利用することが望ましい。

具体的データ

図1 「ハクサイ安濃10 号」の系統図

図2 晩抽ハクサイの抽だいまでの日数の頻度分布

表1 供試系統の特性

その他

  • 研究課題名:ハクサイの晩抽性育種
  • 課題ID:11-01-01-01-02-04
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:1985~2004年度
  • 研究担当者:由比 進、釘貫靖久、吉川宏昭、飛騨健一、西畑秀次、塚崎 光、鈴木 徹、石田正彦、
    畠山勝徳、佐藤隆徳