「べにふうき」緑茶のスギ花粉症状軽減効果とショウガエキス添加の増強効果

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要約

「べにふうき」緑茶長期飲用により、スギ花粉症状の悪化はメチル化カテキンを含有しない緑茶の長期飲用に比べ有意に抑制される。この抑制効果は、ショウガエキスの添加により増大する。

  • キーワード:エピガロカテキン-3-O-(3-O-メチル)ガレート、「べにふうき」緑茶、ショウガエキス、スギ花粉症
  • 担当:野菜茶研・機能解析部・茶機能解析研究室
  • 区分:野菜茶業・茶業
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

社会問題化しているアレルギー疾患に対して、食品中からの抗アレルギー物質の探索が強く求められている現状にある。そこで、茶葉中 から見出された抗アレルギー物質であるエピガロカテキン-3-O-(3-O-メチル)ガレート(メチル化カテキン)を多く含有する「べにふうき」緑茶のス ギ花粉症状に対する効果及びショウガエキスの組み合わせ効果を、ヒト介入試験(無作為二重盲検試験)によって明らかにする。

成果の内容・特徴

  • マスト細胞からのサイトカイン(MIP1-α)産生抑制を評価指標に「べにふうき」緑茶と各種野菜搾汁液の組み合わ せ効果を検討したところ、ショウガエキス、ブロッコリー、かいわれ、レッドキャベツ、ルッコラで相乗効果が認められる。ショウガエキスはそれ自体抑制作用 をもつとともに、「べにふうき」緑茶の抗アレルギー活性を強く増強する(図1)。
  • 「べにふうき」緑茶粉末(平均粒径10μm)1.5g及びショウガエキス30mgを配合した「べにふうき」緑茶粉末 1.5gを1日2回飲用したスギ花粉症有症者群(各9人:前者はBF群、後者はBF+ショウガ群)は、メチル化カテキンを含まない「やぶきた」緑茶粉末 1.5gを1日2回飲用した有症者群(9人:対照群)に比べ、スギ花粉の飛散増加にともなう症状の悪化が軽減され、特に、鼻かみ回数は両群とも有意に少な い(図2)。
  • BF群、BF+ショウガ群では、鼻症状重症度に抗アレルギー薬点数を加えた鼻SMS(symptom- medication score;症状薬物スコア)において、対照群に比べスコア上昇が抑えられ、BF+ショウガ群では有意に節薬効果が認められる(図3)。

成果の活用面・留意点

  • 本成果は、メチル化カテキンを多く含有する「べにふうき」緑茶を利用した飲食品及び他の食品との組み合わせ飲食品に応用することができる。
  • 「べにふうき」緑茶粉末でも効果が確認されたが、粒径による吸収性の違いについては今後検討する必要がある。
  • 商品化に当たっては関係法令に留意する必要がある。

具体的データ

図1.マスト細胞炎症性サイトカイン産生に及ぼす「べにふうき」緑茶と各種野菜成分の組み合わせ効果

図2.べにふうき緑茶飲用によるスギ花粉症状悪化に対する軽減効果とショウガエキス添加による増強効果

図3.ショウガエキス入りべにふうき緑茶飲用による節薬効果

その他

  • 研究課題名:茶と食品成分の組み合わせによるアレルギー抑制効果
  • 課題ID:11-10-03-01-12-05
  • 予算区分:食品
  • 研究期間:2001?2005年度
  • 研究担当者:山本(前田)万里、一法師克成、永井寛(アサヒ飲料)、安江正明(アサヒビール)
  • 発表論文等:山本(前田)ら (2005) 日本食品科学工学会誌,52;584-593.