両性花着生数が多い「すいか中間母本農1号」(旧系統名 スイカ久安1号)

要約

「すいか中間母本農1号」は市販品種の雌花着生数に比べ、およそ2倍の両性花を着生する。本系統は、雌花あるいは両性花の着生数が多く、短期間での集中着果が容易なスイカ品種を育成するための育種素材として利用できる。

  • キーワード:スイカ、雌花、両性花、着果、育種素材
  • 担当:野菜茶研・野菜育種研究チーム
  • 区分:野菜茶業・野菜育種
  • 分類:研究・普及

背景・ねらい

スイカにおける高品質果実の生産のためには、短期間に集中着果させることが不可欠である。しかし、スイカはメロンなどの他のウリ 科野菜に比べて雌花あるいは両性花の着生数が少なく、また、天候条件によって雌花・両性花の着生ならびに着果は影響を受け易い。低温、寡日照条件や梅雨期 における栽培では着果が不安定となりやすく、受粉作業に多くの時間と労力を要している。そこで、受粉作業の日数を短縮し、短期間での集中着果が容易なスイ カ品種を育成するための育種素材として多雌花・両性花性のすいか中間母本を育成する。

成果の内容・特徴

  • 「すいか中間母本農1号」(スイカキュウアン1ゴウ)は、雌花着生数の多い野生スイカ「Red Seeded 3b」(雌雄同株性)に雌花着生数がやや多い「北京系C」(雌雄同株性)を交雑後、わが国の市販品種「富士光TR」(雌雄同株性)、固定品種「都3号」 (両性花雄花同株性)を交雑し、選抜を繰り返して育成した両性花雄花同株性の固定系統である(図1)。
  • 「すいか中間母本農1号」の両性花着生数は、多雌花性の遺伝資源「Red Seeded 3b」の雌花着生数より多く、「竜宝」および「富士光TR」の雌花着生数に比べ、2倍以上である(表1)。
  • 「すいか中間母本農1号」の両性花の開花間隔は、「竜宝」および「富士光TR」の雌花の開花間隔に比べ短い(表1)。よって、受粉作業に要する日数が短縮され、短期間での集中着果が容易である。
  • 「すいか中間母本農1号」の果実はやや扁平で、果皮は緑色、果肉は紅色である(図2、表1)。1果重は「竜宝」と同等からやや重く、糖度は「竜宝」より高い(表1)。
  • 「すいか中間母本農1号」と雌花着生数の少ない「Kleckley Sweet」との交雑F2では、雌花または両性花の着生数について、幅広い変異が認められる。雌花・両性花の着生数は複数の遺伝子に支配されており、不完全優性に遺伝すると推定される(表2)。なお、雌雄同株性か両性花雄花同株性かということと、雌花・両性花の着生数には密接な連鎖は認められない。

成果の活用面・留意点

  • 「すいか中間母本農1号」を育種素材として多雌花・両性花性品種を育成する場合、果実の花痕部を小さく、空洞果を少なく、シャリ感を高めるような品種・系統を交雑に用いる必要がある。
  • 多雌花性品種を育成する場合、雌花着生率は受粉用雄花が不足しない範囲にとどめる必要がある。なお、スイカの花性は既知の1遺伝子座(a)に支配され、両性花雄花同株性は雌雄同株性に対して劣性遺伝することから、両性花雄花同株性から雌雄同株性への育種は容易である。

具体的データ

図1 「すいか中間母本農1号」の育成系統図

図2 「すいか中間母本農1号」の果実

表1 「すいか中間母本農1号」 の主な特性(2007年半促成栽培 z)

表2 「すいか中間母本農1号」 と「Kleckley Sweet」との交雑後代における雌花・両性花着生数(頻度分布)

その他

  • 研究課題名:病虫害抵抗性、省力・機械化適性、良食味等を有する野菜品種の育成
  • 課題ID:211-j
  • 予算区分:交付金プロ(超省力園芸)、基盤研究費
  • 研究期間:1990~2007年度
  • 研究担当者:杉山充啓、杉山慶太、坂田好輝、森下昌三、齊藤猛雄、小原隆由、吉田建実、菅野紹雄、岩永喜裕
  • 発表論文等:杉山(2001)野菜茶試研報16:265-310