単純反復配列(SSR)マーカーを基にしたメロン連鎖地図

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要約

構築したメロン連鎖地図の全長は877cMであり、157個のSSRマーカーを含んでいる。この連鎖地図には、うどんこ病抵抗性に関する2つの量的遺伝子座(QTL)、ワタアブラムシ抵抗性、えそ斑点病抵抗性および果肉色を支配する遺伝子が座乗している。

  • キーワード:メロン、連鎖地図、SSRマーカー、うどんこ病抵抗性、ワタアブラムシ抵抗性、えそ斑点病抵抗性、果肉色
  • 担当:野菜茶研・野菜育種研究チーム
  • 代表連絡先:電話050-3533-3863
  • 区分:野菜茶業・野菜育種
  • 分類:研究・普及

背景・ねらい

連鎖地図は選抜マーカーを開発する上で重要である。しかし、従来報告されていたメロン連鎖地図には、座乗する汎用性の高いマーカーは少なく、日本品種へ適用できる選抜マーカーは限られていた。そこで、汎用性の高いSSRマーカーを用いて他の連鎖地図との比較・統合が可能な連鎖地図を構築して、ワタアブラムシ抵抗性、えそ斑点病抵抗性および果肉色を支配する遺伝子を位置づける。さらに、この地図を用いてQTL解析を行うことでうどんこ病抵抗性に関与する遺伝子座を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 本連鎖地図の作成に用いた集団は、うどんこ病、ワタアブラムシ、えそ斑点病に対して抵抗性を持つアメリカキャンタロープ「AR 5」と感受性であるアールスフェボリット「春系3号」との交雑F2に由来する組換え型自殖系統93系統である。
  • 本地図の全長は877cMであり、157個のSSRマーカーと7個のSCAR/CAPSマーカー、また、ワタアブラムシ抵抗性、えそ斑点病抵抗性および果肉色を支配する遺伝子の計167マーカーが座乗しており、20連鎖群から構成される(図1)。
  • うどんこ病抵抗性に関与する2つのQTLは、第IIA連鎖群および第XII連鎖群に位置づけられる。
  • 本地図のすべての連鎖群はGonzalo et al. (TAG 110:802-811, 2005)の連鎖地図における12本の連鎖群と対応づけられている。また、Perin et al. (TAG 104:1017-1034, 2002)、Gonzalo et al. (2005)およびCuevas et al. (TAG 117:1345-1359, 2008)の連鎖地図との共通マーカーはそれぞれ5個、42個、41個であり、本地図とこれらの連鎖地図との比較が可能である。

成果の活用面・留意点

  • 本連鎖地図は、多型性に富み汎用性の高いSSRマーカーを用いて構築されていることから、異なる解析集団においても効率的な連鎖地図構築および選抜マーカー開発に利用できる。
  • メロン連鎖地図および座乗するマーカーに関する情報は、野菜DNAデータベース(VegMarks,http://vegmarks.nivot.affrc.go.jp/VegMarks/jsp/index.jsp)で公開している。

具体的データ

図1 メロン連鎖地図とうどんこ病抵抗性のQTL

その他

  • 研究課題名:病虫害抵抗性、省力・機械化適性、良食味等を有する野菜品種の育成
  • 課題ID:211-j
  • 予算区分:委託プロ(グリーンテクノ)、科研費、交付金プロ(園芸マーカー)
  • 研究期間:2002~2008年度
  • 研究担当者:吹野伸子、小原隆由、Antonio J. Monforte(スペインIRTA)、杉山充啓、坂田好輝、
    國久美由紀、松元哲
  • 発表論文等:Fukino N et al. (2008) Theor Appl Genet 118:165-175