出生直後の黒毛和種子牛への誘導訓練の効果

要約

黒毛和種子牛に生後7日間1日1回20分のロープ誘導訓練を行うと、育成後期のハンドリング作業において、人工哺乳では人間の強要に対して協力的となり、3ヵ月齢まで親子放牧した自然哺乳では突発的な捕獲および誘導が容易となる。

  • 担当:四国農業試験場・地域基盤研究部・草地畜産研究室
  • 連絡先:0877-62-0800
  • 部会名:畜産
  • 専門:飼育管理
  • 対象:家畜類
  • 分類:研究

背景・ねらい

放牧は低コストでの肉用牛生産を可能とするが、その要因の一つは労働時間の短縮にある。しかしその反面、放牧主体の飼養体系下で生産された牛は、人間による捕獲や誘導などのハンドリング作業において激しく抵抗し、作業を困難にする場合が多い。そこで、牛の管理作業における安全性および快適性の確保を目的として、生後7日間の早期訓練の有無および3ヵ月齢までの哺乳方法(人工哺乳および親子放牧による自然哺乳)の違いが、育成後期のハンドリング作業の能率に及ぼす影響を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 黒毛和種子牛に対して生後7日間だけ1日1回約20分間のロープ誘導(牽引)訓練を行い、育成後期(31週齢) に突発的に捕獲しロープ誘導した場合(図1)、人間との接触に慣れている人工哺乳では早期訓練の効果は明らかでなかったが、自然哺乳では早期訓練の効果が認められ、捕獲・誘導時間が人工哺乳と同程度にまで短縮された。(図2、図3の第1日)。
  • 同作業を5日間連続した場合、人工哺乳の捕獲・誘導時間は比較的短時間に安定し、早期訓練は誘導時間をさらに短縮させた。一方、自然哺乳の捕獲時間は経日的に短縮し、4日目以降は人工哺乳と同程度となったが、自然哺乳の誘導時間には個体毎に多様な日間変動パターンが見られた(図2、図3の第2~5日)。
  • さらに、同作業を間隔(10日間)をおいて実施した場合、人工哺乳の捕獲・誘導時間には大きな変動は見られなかった。一方、自然哺乳では既に短縮した捕獲時間は維持されたが、誘導作業に対しては強い抵抗を示す個体が増加した(図2、図3の第15日)。
  • 捕獲施設への侵入順番は個体毎に概ね決まっており、人工哺乳は自然哺乳より順番が早かった。また、早期訓練は、人工哺乳では侵入順番を早めたが、自然哺乳では順番への影響は見られなかった(図4)。

成果の活用面・留意点

飼養方法によって早期訓練の効果が異なるので、実用技術は飼養方法別に開発する必要がある。また、早期訓練の生涯的な影響については追跡調査を要する。

具体的データ

図1 補角時間および10mロープ誘導時間の測定に用いた施設の概略

図2 育成後期における補角時間の推移

図3 育成後期における10mロープ誘導時間の推移

図4育成後期における捕獲施設への侵入順番の推移

その他

  • 研究課題名:学習訓練を利用した放牧牛の行動制御法の解明
  • 予算区分 :経常
  • 研究期間 :平成6年度(平成3~7年)
  • 発表論文等:早期学習訓練および哺乳方法が牛の扱い易さに及ぼす影響 第3報、
                      日草誌、41巻(別)、1995。