トマト青枯病抵抗性台木品種の無病徴感染による穂木の発病

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要約

トマト青枯病抵抗性台木品種が無病徴感染することを明らかにした。接ぎ木したトマトの発病は、青枯病菌が無病徴感染した台木品種から穂木へ移行することにより起こる。

  • 担当: 中国農業試験場・地域基盤研究部・病害研究室
  • 連絡先:0849-23-4100
  • 部会名:生産環境(病害虫)
  • 専門:作物病害
  • 対象:果菜類
  • 分類:研究

背景・ねらい

トマト青枯病防除対策のための抵抗性台木品種の利用は、最も安定した技術として定着している。しかし、近年、各地で抵抗性台木に接ぎ木 したトマト栽培品種が萎ちょうし、枯死する現象が認められ、問題になっている。そこで、この原因を究明するため接ぎ木したトマトの発病過程を明らかにす る。

成果の内容・特徴

  • 我が国の代表的な抵抗性台木品種LS-89(LS)、BF興津101号(BF)及び罹病性品種のポンデロ-ザ(Pon)に青枯病菌5菌株 を断根接種して、各品種の感染・発病を調べた。また、LSとPonを組み合わせた接ぎ木苗に青枯病菌を接種して穂木の感染・発病を調査した。
  • Ponはいずれの菌株に対しても感受性で高率に発病して枯死する。一方、LS及びBFでは外観発病はほとんど認められないが、約20~80%の個体は青枯病菌に無病徴感染する(図1)。
  • 穂木/台木の組み合わせを Pon/Ponとした接ぎ木苗では全株萎ちょう及び枯死し、同様にLS/Ponでは発病率、発病度ともに高い(表1) 。Pon/LSでは接種14日後に約60%の個体が発病する。しかし、LS/LSでは外観的に発病しないが約70%の穂木が無病徴感染している。これらのことから台木の無病徴感染により青枯病菌が穂木へ移行し、接ぎ木したトマトが発病する。

成果の活用面・留意点

抵抗性台木品種の無病徴感染により穂木が発病するので、今後、抵抗性台木品種を利用する場合には、他の防除法を含めた総合防除を行う必要がある。

具体的データ

その他

  • 研究課題名:トマトにおける青枯病菌の病原性の分化
  • 予算区分 :経常
  • 研究期間 :平成8年度(平成3年~7年度)
  • 研究担当者:中保一浩
  • 発表論文等:Conditions that increase latent infection of grafted or non-grafted tomatoes with
                      Pseudomonas solanacearum ,日植病報、62、234-239、1996.