微孔フィルム包装ブロッコリーの鮮度保持効果

要約

微孔の数で酸素透過量を調節した微孔フィルムにブロッコリーを入れ、夏期の流通温度帯(10~20°C)で7日間程度貯蔵して鮮度保持効果をみると、外観、クロロフィル、ビタミンC含量等いずれも対照の無機物混入フィルムに優っている。

  • 担当: 中国農業試験場・作物開発部・品質特性研究室
  • 連絡先:0849-23-4100
  • 部会名:食品、近畿中国(流通利用)
  • 専門:食品品質
  • 対象:花菜類
  • 分類:研究

背景・ねらい

我が国では夏期に予冷処理された青果物が、消費者に渡るまで必ずしも低温流通されているとは限らず、10~20°Cで流通されているのが現状である。微孔の数で酸素透過量を調節したフィルムを用い、この温度帯でのブロッコリーの鮮度保持効果を検討する。

成果の内容・特徴

  • 広島県産ブロッコリー(品種:緑嶺、M寸10~11cm)を供試(6月下旬試験)。
  • 微孔(70μm)の数で酸素透過量を3通りに変えたポリエチレンテレフタレートとポリエチレンの積層フィルム( 450 mm× 600 mmの袋)を用い、3°Cの冷蔵庫で一晩予冷したブロッコリーを15個/袋入れ、開口部をヒートシールした後20°Cで7日間保存。
  • 各フィルムの酸素透過量は20°C下で(1) 10900~12800 ml/m2・day・atm、(2) 16000~19000 ml/m2・day・atm、(3) 25600~32000 ml/m2・day・atm である。
  • 開口部をハンカチ包装した対照の無機物混入フィルム(酸素透過量: 5400~6000 ml/m2・day・atm)のブロッコリーが3日後に商品価値を失うのに対し、(3)のフィルムに入れたブロッコリーは7日後でも十分に商品価値を保っている(図1)。
  • 微孔フィルム内の酸素濃度は、ハンカチ包装の対照フィルム内酸素濃度を下回り、炭酸ガス濃度は上回っており、低酸素、高炭酸ガス環境となっている(図2)。
  • 花蕾部のクロロフィル、ビタミンC含量とも対照フィルムに比べて微孔フィルム各区のブロッコリーが優っている(図3)。
  • 以上のことから、酸素透過量 20000~30000 ml/m2・day・atm の微孔フィルムは、20°C下の環境でも7日間程度ブロッコリーの品質を良好に保つことができる。

成果の活用面・留意点

  • 微孔フィルムによるブロッコリーへの鮮度保持効果が認められることにより、軟弱野菜のMA包装資材として活用できる。
  • 青果物の種類や保存温度によって呼吸発生熱量が異なるので、品目や保存環境に応じた微孔(酸素透過量)フィルムを選択することが肝要である。

具体的データ

図1 ブロッコリー保存中の外観評価

図2 ブロッコリー保存中のフィルム内ガス濃度の変化

図3 ブロッコリー保存中のクロロフィル及びビタミンCの変化

その他

  • 研究課題名:ガス制御(MA包装)による軟弱野菜の品質および機能性成分の保持技術の開発
  • 予算区分 :営農合理化(特定課題)
  • 研究期間 :平成8年度(平成6~8年)
  • 研究担当者:太田英明(現:中村学園大学)、與座宏一(現:食総研)、楠本憲一、野方洋一、小野田明彦
  • 発表論文等:Postharvest 96, International Postharvest Science Conference, New Zealand, 1996.