柵越し哺乳施設の一時的な入口遮断による放牧地での授乳期発情牛の捕獲法

要約

放牧地での発情牛の慣行法による捕獲では複数の作業員と長い作業時間を必要とするが、親子分離放牧における柵越し哺乳施設の入口を一時的に遮断する方法では、作業員1名でも0.6~3.6分という短い作業時間で発情牛の捕獲が可能になる。

  • 担当: 中国農業試験場・総合研究部・総合研究第2チーム
  • 連絡先:08548-2-0144
  • 部会名:総合研究・畜産
  • 専門:飼育管理
  • 対象:肉用牛
  • 分類:指導

背景・ねらい

放牧地では牛の行動範囲が広いことから、発情牛の発見と捕獲に多くの時間と労力を要する。発情牛は市販のディテクタ-の利用(牛の尻部 に貼り付け乗駕されるとその色が赤変)で発見できるので、本研究では発情牛の捕獲作業に焦点を当て、柵越し哺乳施設の入口を遮断して授乳を一時的に制限し た場合の捕獲作業の省力性を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 本捕獲法は、午前および午後の放牧地の見回り時に1頭でもディテクタ-が赤変していた場合、その時点で放牧地内に設けた柵越し哺乳施設の入口(図1)を閉じて授乳ができないようにし、授精時刻(午前発見の場合は午後、午後遅く発見の場合は翌朝など)に哺乳施設の入口を開けて牛を施設内に導いて授乳中に捕獲するという手順である。
  • 本捕獲法の場合は、いずれの調査日でも授乳期繁殖牛は捕獲開始時には既に哺乳施設付近(図2の居場所区分A)に集まっており、入口を開けると牛が自ら施設内に入ってくることが多く、作業員1名でも0.6~3.6分と短時間で発情牛の捕獲が可能である(表1)。
  • 柵越し哺乳施設の入口遮断を行わない当場慣行の捕獲作業の場合は、作業員が3~5名と多くの人員を要し、作業時間も3.5~30.0分と 長い。慣行法では、発情牛のみを施設まで誘導し追い込むことは困難であり他の牛も一緒に追い込む必要がある。また、日によって捕獲開始時の牛の居場所も 様々であり、それに応じて作業時間が大きく変動するなど、捕獲作業に必要な労力や時間を前もって予測することが困難である(表2)。
  • 以上のことから、哺乳施設の入口遮断による誘導法は、慣行法に比べて、作業が省力的であり、前もって捕獲に必要な労力や時間を予測できないという問題も改善される。

成果の活用面・留意点

  • 柵越し哺乳施設を備えた親子分離放牧での授乳期発情牛の捕獲作業に活用できる。
  • 本法の集畜効果は、発情牛のその時の乳量、入口遮断前哺乳時刻などによって異なる可能性がある。

具体的データ

図1 柵越哺乳施設の概略図

図2 調査実施草地」における柵越し哺乳施設の位置と牛の居場所区分

表1 柵越し哺乳施設の一時的な入り口遮断方式による発情牛の捕獲作業成績

表2 入り口の遮断をしないで慣行法での発情牛の捕獲作業成績

その他

  • 研究課題名:家畜の行動習性を利用した省力的放牧管理技術の確立
  • 予算区分 :経常
  • 研究期間 :平成8年度(平成6~9年)
  • 研究担当者:圓通茂喜、大谷一郎、山本直之