牛用飼料としての生米ヌカ中脂肪の脂肪酸カルシウムへの形成条件
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要約
生米ヌカ中脂肪の脂肪酸カルシウム(FACa)への形成率60%以上の培養条件は、生米ヌカ1gあたり、リパーゼQLあるいはPL1.25mg以上、水酸化カルシウム0.05g以上の添加である。FACa形成米ヌカは、市販米ヌカに比べ、ルーメン内潜在的分解率が低いために、30%多く給与可能である。
- キーワード:動物栄養、肉用牛、生米ヌカ、脂肪、脂肪酸カルシウム、ルーメン内分解率
- 担当:近中四農研・畜産草地部・栄養生理研究室
- 連絡先:電話 0854-82-1670、電子メールansada@affrc.go.jp
- 区分:近畿中国四国農業・畜産草地、畜産草地
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
生米ヌカ(米ヌカ)は脂肪含量が高く、反すう家畜のエネルギー源としての利用が考えられるが、多量の脂肪給与はルーメン内繊維成分の分解率を低下させる。そこで、米ヌカ中の脂肪を脂肪酸カルシウム(FACa)に変換して、ルーメンをバイパスさせ、繊維成分消化率を低下させずに、米ヌカの給与量を増加させるために、FACaの効率よい形成条件とFACa形成米ヌカのルーメン内分解率からその可給量を検討する。
成果の内容・特徴
- 米ヌカにリパーゼPLを加えた時のFACa形成率(FACa/粗脂肪)は、米ヌカ1gあたりリパーゼ1.25mg以上添加した時、60%以上を示す(図1)。
- FACa形成率60%以上を示す水酸化カルシウム(Ca(OH)2)添加量は、米ヌカ1gあたりリパーゼ1.25mg添加時に0.05g以上、同無添加時に0.15g以上である(図2)。
- FACa形成率60%以上を示すのは、3種のリパーゼQL、PL、OFのうち、リパーゼQLあるいはPLを米ヌカ1gあたり1.25mg添加した時である(図3)。
- FACaが形成された米ヌカのルーメン内分解特性は、市販米ヌカに比べ易分解性区分が少なく、難分解性区分の分解速度が速い特性を持つ。ルーメン内通過速度を考慮した潜在的分解率は、市販米ヌカの68%に対し、FACa形成米ヌカが53%であり、反すう家畜に米ヌカをそのまま給与するより30%多く給与可能と算定する(表1)。
成果の活用面・留意点
- FACa形成率は、ある添加量で明確な改善傾向を示す60%以上を基準値とした。
- 供試リパーゼは工業用(名糖産業)で、QLとPLはAlcaligenes sp.由来、OFはCandida cylindracea由来である。
- 米ヌカ中の脂肪のFACaへの効率よい形成条件とそれによる可給量の目安を示す基礎知見である。
- 実際の牛への給与時における繊維成分消化率の改善程度や可給量は今後検討する必要がある。
具体的データ
その他
- 研究課題名:脂肪含量の高い食品副産物の反芻家畜への飼料化技術の開発
- 予算区分:地域バイテク型
- 研究期間:1999~2001年度
- 研究担当者:安藤 貞、土肥宏志、早坂貴代史、林 義朗、小迫孝実、西口靖彦
- 発表論文等:1)安藤ら (2002) 関西畜産学会報 151:18