コレマンアブラバチを用いたバンカー法による施設ナスのアブラムシ防除

要約

促成栽培ナスでの春期アブラムシ対策として、11月にムギ類を播種し、2週間後にムギクビレアブラムシを接種し、さらに2週間後にコレマンアブラバチを放飼するバンカー法により、モモアカアブラムシとワタアブラムシを長期間防除できる。

  • キーワード:コレマンアブラバチ、バンカー法、ナス、モモアカアブラムシ、ワタアブラムシ
  • 担当:近中四農研・総合研究部・総合研究第4チーム、高知県農業技術センター・環境システム開発室
  • 連絡先:電話0773-42-0109、電子メール nagasaka@affrc.go.jp
  • 区分:近畿中国四国農業・生産環境(病害虫)、野菜茶業・野菜生産環境、共通基盤・病害虫(虫害)、総合研究
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

施設野菜類において害虫防除対策に天敵類を利用した栽培が増加しつつある。これらの栽培において重要害虫であるアブラムシ 類に対しては主にコレマンアブラバチが利用されているが、害虫を発見してから天敵を放飼する通常の接種的放飼法では、放飼タイミングが難しく、防除効果が 不安定な場合が多い。そこで、アブラムシ類の発生前から十分量の天敵を準備するバンカー法(平成13年度主要成果)について、促成栽培ナス等における春期 アブラムシ対策として、生産者が実施可能な手順を確立する。

成果の内容・特徴

  • 促成栽培ナス等で問題になるアブラムシ類(モモアカアブラムシ、ワタアブラムシ)に対して、天敵コレマンアブラバチを、ムギ類(コムギ、オオムギ、エンバクなど)とムギクビレアブラムシ(不完全生活環型)を利用したバンカー法により放飼する。
  • 施設の側窓を閉め始める11月に、10aあたり4~6カ所(天窓下等に分散して配置)にムギ類の種子(1カ所あたり約5g、1m×15cm程度)を蒔く(図1)。
  • 約2週間後、ムギ類が草丈15cm程度に生育したら、ムギクビレアブラムシを1カ所あたり約1000頭接種する(図1)。
  • さらに約2週間後、ムギクビレアブラムシがムギ類1茎あたり10頭以上に増加したら、コレマンアブラバチ製剤を10aあたり1ボトル(約500頭)、ムギ類の播種箇所に分けて放飼する(図1)。
  • その後、ムギクビレアブラムシが減少するので、1~2ヶ月ごとに追加する。また、ムギ類を2~3ヶ月ごとに播種し、バンカー植物を更新していく(図1)。
  • 高知県安芸市の促成栽培ナス施設等でバンカー法導入試験を実施し、2001年度作で改善が必要と考えられた導入スケジュー ル、バンカー植物の箇所数、更新方法、ムギクビレアブラムシの追加等について、2002年度作で上記2~5の手順にした結果、70%を超える施設で収穫盛 期(2~6月)に発生するアブラムシ類を薬剤無散布あるいは部分散布(100株/10a程度以内)のみで、問題とならない密度に抑えられた(図2)。

成果の活用面・留意点

  • ナスの他に、ピーマン、シシトウなどの促成栽培で有効である。
  • 防虫ネット等の侵入防止策との併用が効果的である。
  • コレマンアブラバチに寄生する二次寄生蜂が多くなると、バンカー法が機能しなくなる。また、ジャガイモヒゲナガアブラムシ、 チューリップヒゲナガアブラムシにはコレマンアブラバチは寄生しない。アブラムシ類のコロニーが大きくなり、有翅虫が見られるようなら、ピメトロジン剤等 天敵に影響の少ない殺虫剤の散布を行う。
  • ムギ類(マルチ用、緑肥用等)、ムギクビレアブラムシ、天敵は市販品を利用できる。

具体的データ

図1 バンカー法導入スケジュール(高知県安芸農改センター2003年版)

 

図2 バンカー法導入施設での春期のアブラムシ防除薬剤散布状況

 

その他

  • 研究課題名:施設ナスの病害虫の総合防除技術の体系化と実証 (天敵,バンカー植物による害虫防除技術の実証)
  • 課題ID:06-01-09-*-08-03
  • 予算区分:IPM
  • 研究期間:2002~2003年度
  • 研究担当者:長坂幸吉、安部順一朗、田中和夫、尾島一史(近中四農研)、高井幹夫、高橋尚之(高知県農技セ)
  • 発表論文等:長坂・大矢(2003)植物防疫57: 505-509.