レタスビッグベイン病汚染土壌中の媒介菌休眠胞子からのウイルス検出

要約

レタスビッグベイン病汚染土壌から本病を媒介するオルピディウム菌の休眠胞子分画を不連続勾配遠心により回収できる。この分画を用いNested RT-PCRにより、病原ウイルスであるミラフィオリレタスウイルスとレタスビッグベインウイルスが検出できる。

  • キーワード:レタスビッグベイン病、菌媒介性ウイルス、休眠胞子、Nested RT-PCR
  • 担当:近中四農研・特産作物部・ウイルス病研究室
  • 連絡先:電話0877-63-8130、電子メールkisikawa@affrc.go.jp
  • 区分:近畿中国四国農業・生産環境(病害虫)、共通基盤・病害虫(病害)
  • 分類:科学・参考

背景・ねらい

レタスビッグベイン病の病原とされるミラフィオリレタスウイルス(MiLV)とレタスビッグベインウイルス(LBVV)は、罹病根中で媒介菌であるオルピディウム菌(Olpidium brassicae)に獲得され、伝搬される。したがって、本病に対する防除対策の策定や被害回避には、レタス作付け以前に土壌中のオルピディウム菌のウイルス保毒状況を明らかにし、土壌の汚染程度を把握する必要がある。そこで、土壌からのオルピディウム菌休眠胞子の分画・回収法およびその休眠胞子からのMiLV及びLBVVの検出法を開発する。

成果の内容・特徴

  • 汚染土壌に50mM酢酸緩衝液(pH4.5)を加えて振とう後、メッシュ濾過、Percollを用いた不連続勾配遠心により休眠胞子を含む分画を回収できる(図1)。不連続勾配遠心(60%Percoll(0.25Mショ糖)/90%Percoll(0.25Mショ糖))では、休眠胞子は90%Percollと60%Percollの濃度境界面および90%Percoll層に存在する。
  • 分画・回収された休眠胞子を磨砕器(マルチビーズショッカー)で破砕して全RNAを抽出し、MiLVおよびLBVV各ゲノムの外被タンパク質領域を対象に設計したプライマー(表1)を用いてNested RT-PCRを行う(図1)ことにより、両ウイルスが検出できる。
  • 本法により、高汚染土壌(香川県豊浜町で採取し5年間継続使用中)10gから再現性よくウイルスが検出でき、検出範囲はMiLVで全RNA抽出液の16~256倍希釈、LBVVで64~256倍希釈である(表2)。ウイルスフリーの休眠胞子からは特異的バンドは検出されない。
  • レタスビッグベイン病現地圃場(香川県豊浜町)でレタス作付け前の夏期に採集した土壌からも本法によってウイルスを検出できるが、同一圃場であっても汚染程度は均一ではないものと推定される(表3)。

成果の活用面・留意点

  • 汚染程度の高い圃場の事前把握に利用できる。
  • 本病発生圃場における土壌の汚染程度を調べる際には、同一圃場内でも場所により汚染程度が異なることに注意する必要がある。

具体的データ

図1 土壌からの休眠胞子分画回収法および休眠胞子からのウイルス検出法

 

表1 Nested-RT-PCR用に設計したMiLVとLBVVのプラ イマー配列および増幅されるDNA断片サイズ

表2 レタスビッグベイン汚染土壌から のMiLVおよびLBVVの検出 表3 豊浜町汚染土壌からのMiLVおよび LBVVの検出

その他

  • 研究課題名:レタスビッグベイン病媒介菌の特性解明と土壌診断技術の開発
  • 課題ID:06-04-03-01-04-04
  • 予算区分:高度化事業・交付金
  • 研究期間:2003~2005年度
  • 研究担当者:石川浩一、野見山孝司