TDR水分計によるウンシュウミカン樹の太枝体積含水率の年間変動

要約

ウンシュウミカン樹の亜主枝、主枝、主幹の体積含水率は、春から夏にかけて変わらないが、11月になると急に低下する。急傾斜地園に栽培した樹や傾斜地園に隔年交互結実栽培した生産年の樹では、主枝の体積含水率が8月から低下し始め、10月には慣行結実栽培した樹より低い。

  • キーワード:ウンシュウミカン、体積含水率、傾斜地園、隔年交互結実栽培
  • 担当:近中四農研・特産作物部・果樹研究室
  • 連絡先:電話0877-63-8128、電子メールkho@affrc.go.jp
  • 区分:近畿中国四国農業・果樹
  • 分類:科学・参考

背景・ねらい

樹体の水分状態は、光合成産物や根から吸収した養分の樹体内での移動に影響を与える。樹体の水分状態を適切に管理する技術を確立するためには、園地条件や着果結実管理が樹体の水分状態に与える影響を明らかにする必要がある。
そこで、水田転換園、緩傾斜地園、急傾斜地園に栽培したウンシュウミカン「杉山温州」の亜主枝、主枝、主幹の体積含水率をTDR携帯型水分計で計測し、園地条件や果実をならせる生産年と全摘果する遊休年を設ける隔年交互結実栽培などが枝の体積含水率の年間変動に与える影響を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 亜主枝、主枝、主幹にセンサーロッドとして釘を2本それぞれ挿入し、TDR携帯型水分計のセンサーロッドを釘に接触させて計測した計測値から、予め求めた検量線にもとづいて枝の体積含水率を算出する。
  • 礫質黄色土を客土した水田転換園に栽培した樹では、5月から10月まで亜主枝、主枝、主幹の体積含水率はほぼ同じで、11月になって急に低下する(図1)。
  • 5、8、11月の表層土壌の体積含水率が水田転換園と差がない礫質黄色土緩傾斜地園に栽培した樹では、亜主枝、主枝、主幹の体積含水率は水田転換園より低いが、5月から10月まで同じで、11月になって急に低下する(表1、図2)。
  • 5、8、11月の表層土壌の体積含水率が水田転換園と差がない礫質黄色土急傾斜地園に栽培した樹では、亜主枝、主枝、主幹の体積含水率は5月から緩やかに低下し、水田転換園や緩傾斜地園に栽培した樹より8月から10月に低い(表1、図3)。
  • 傾斜地園に隔年交互結実栽培したときの生産年の樹では、緩傾斜地では明らかでないが、急傾斜地では慣行結実栽培した樹より主枝の体積含水率が10月に低い。一方、急傾斜地園の遊休年の樹では、慣行結実栽培した樹より主幹の体積含水率が10月に高い(図3)。

成果の活用面・留意点

  • 傾斜地園でウンシュウミカン樹の樹体内水分環境を制御するための基礎資料となる。
  • 隔年交互結実栽培において水分管理技術を確立するための資料となる。
  • 年間平均降水量が1100mmの地域で1600mmの降水量があった多雨年に計測した結果であるため、平年には体積含水率の変動パターンは変わる可能性がある。

具体的データ

図1 水田転換園における亜主枝・主枝・主幹の体積含水率の変化

図2 緩傾斜地園における亜主枝・主枝・主幹の体積含水率の変化

 

図3 急傾斜地園における亜主枝・主枝・主幹の体積含水率の変化

 

表1 深さ10cmまでの平均土壌体積含水率(%)

その他

  • 研究課題名:隔年交互結実栽培における有機・無機栄養動態の解明
  • 課題ID:06-04-01-01-04-04
  • 予算区分:超省力園芸
  • 研究期間:2001~2004年度
  • 研究担当者:平岡潔志、内田 誠、瀧下文孝、村松 昇、草塲新之助