酵母Candida utilis は油脂資化性を持ちin vitro 粗飼料分解率を向上させる

要約

酵母Candida utilis は米油を炭素源として利用し生育が可能である。米ヌカをCandida utilis で処理すると粗脂肪含量の低下、タンパク質含量の増加がみられる。Candida utilis を添加した場合in vitro 粗飼料分解率が有意に高まる。

  • キーワード:ウシ、家畜栄養、Candida utilis、米油、米ヌカ、粗飼料、分解率
  • 担当:近中四農研・畜産草地部・栄養生理研究室
  • 連絡先:電話0854-82-1670、電子メールansada@affrc.go.jp
  • 区分:近畿中国四国農業・畜産草地、畜産草地
  • 分類:科学・参考

背景・ねらい

食品製造副産物の中には米ヌカのように脂肪含量が高く、そのまま乳肉牛に大量に給与した場合、さまざまな障害を起こすものがある。このような副産物に対しては脱脂処理を施して飼料化することが考えられる。酵母のうちCandida utilis は脂肪を利用できることが報告されており、Candida utilis で米ヌカを処理すれば脂肪含量を低下させるとともに、酵母による第一胃微生物活性化作用も期待できる。したがって、本試験ではCandida utilis の脂質資化能の検討、米ヌカを処理した場合の成分値の変化、Candida utilisin vitro 粗飼料分解率に及ぼす影響を検討する。

成果の内容・特徴

  • IFO(発酵研究所)1086、0988、0626各系統の培養120時間における脂肪分解率、酵母の増殖割合(重量比)は32.8%・26倍、11.5%・18倍、33.9%・35倍である(表1)。
  • Candida utilis 処理した米ヌカは無処理米ヌカにくらべ脂肪含量が低く、タンパク含量が高い。また、Candida utilis 処理した米ヌカは無処理米ヌカにくらべ初期の分解率は低いが、後半は高い(表2)。
  • Candida utilis 添加によってin vitro 粗飼料分解率が有意に高まるが、系統間に差はない(表3)。
  • 以上の結果から米ヌカのCandida utilis 処理は飼料価値を向上させる。

成果の活用面・留意点

  • 副産物である米ヌカの脱脂による飼料価値向上に関する知見である。
  • Candida utilis の油脂消化には大量の酸素を必要とするので、攪拌、振とうが重要である。
  • 水を用いる処理なので、水の使用量を削減する方法の開発が必要である。

具体的データ

表1 Candida utilis による米油分解性と酵母の増殖

 

表2 Candida utilis 処理による米ヌカの成分値・分解率(%)

 

表3 Candida utilis が粗飼料の in vitro 24時間乾物分解率(%)に及ぼす影響

その他

  • 研究課題名:肉用牛飼養における醸造副産物の消化生理特性に基づく栄養評価
  • 課題ID:06-07-02-01-03-02
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2001~2003年度
  • 研究担当者:安藤 貞、西口靖彦、早坂貴代史