時期別集落別畜種別余剰家畜ふん尿量の推定手法

要約

本法は畜ふん堆肥の畜種別生産量、主要作物の作付け面積、及び旬別作目別の堆肥投入量などをもとに、農地利用されない過剰ふん尿量を推定する。本法により、エネルギー資源として利用可能な家畜ふん尿の量が、時期別、集落別、畜種別に推定できる。

  • キーワード:畜ふん堆肥、農地利用、過剰ふん尿、地域バイオマス、エネルギー資源
  • 担当:近中四農研・傾斜地基盤部・資源利用研究室
  • 連絡先:電話0877-62-0800、電子メールmasanori@affrc.go.jp
  • 区分:近畿中国四国農業・生産環境(土壌・土木・気象)、共通基盤・土壌肥料
  • 分類:行政・参考

背景・ねらい

エネルギー資源として利用可能な家畜ふん尿量を推定するためには、地域で発生するふん尿量と、堆肥として農地利用されるふん尿量の時空間的関係を踏まえ、農地で利用されない過剰ふん尿が発生する時期と量、及びその場所を明らかにする必要がある。そこで本研究では、農地への畜ふん堆肥の利用状況等から過剰ふん尿量の発生時期や場所などを推定するモデル手法を考案する。

成果の内容・特徴

  • はじめに、対象地域を市町村単位で決め、そこに分布する農業集落ごとに畜種(乳用牛、肉牛、豚、採卵鶏、ブロイラー)、生育ステージ(搾乳、乾乳、肥育、繁殖、育成、幼趨、中趨、大趨、前期、後期)別の飼養頭羽数を整理する。データベースとしては主に農業センサス農業集落カードを用い、不足する情報は市町村役場、農業改良普及センターなどへ問い合わせる。
  • つぎに、年間を通じて一定とみなした集落単位の畜種、生育ステージ別飼養頭羽数にふん尿発生量原単位、堆肥化にともなう重量減少率(乾物分解率+水分蒸発率)を乗じ、さらに堆肥化に要する時間の季節変動(夏場で3ヵ月、冬場で5ヵ月前後)を加味して、旬ごとの堆肥生産量を求める。主要作物の作付け面積、畜種別堆肥投入量と投入時期は、役場や農協が所有する資料、栽培ごよみや栽培指針などから推定する。
  • 上記で求めた集落ごとの堆肥生産量、作付け面積、旬別作目別の面積当たり堆肥投入量などをモデル計算フローに入力し、当該集落及び他集落への堆肥投入量、堆肥不足農地面積、投入後の堆肥貯留量とこれに相当する家畜ふん尿量を旬別、作目別、畜種別、集落別に出力する(図1)。堆肥は、市町村の実情に応じて作目ごとに一定の順序で投入され、当該集落農地へ投入後に余った堆肥は、他集落農地へ均等に配分されると仮定する。また計算始め(11月初期)の堆肥貯留量は0と定義する。
  • A町(近畿中国四国管内、集落数70)の計算例をみると(図2、3)、鶏ふん堆肥が月当たり200t、年間2,500tのペースで過剰化しており、これに相当する過剰鶏ふんが、大規模養鶏場をもつ7つの集落に集積していることが推定される。

成果の活用面・留意点

  • 家畜ふん尿が過剰集積する集落を対象として、効率的な収集、運搬システムを構築することにより、家畜ふん尿のエネルギー資源化の取り組みが促進される。
  • 家畜ふん尿の発生量原単位は、中央農研から提供される家畜排泄物量推定プログラムにより与える。
  • 今後は、副資材の添加や市町村外との堆肥の流通を加味することにより、推定精度の向上を図る必要がある。
  • モデル計算フローの詳細は、発表論文等を参照する。

具体的データ

図1 モデル計算フロー

 

図2 堆肥貯留量の推移 図3 過剰な生鶏ふんを抱える集落とその推定量

その他

  • 研究課題名:中山間農業地域における資源循環適正化支援技術の開発
  • 課題ID:06-02-03-*-08-04
  • 予算区分:交付金(農研機構本部重点事項研究強化費)
  • 研究期間:2003~2004年度
  • 研究担当者:吉田正則、吉川省子
  • 発表論文等:吉田・吉川(2004)農業由来バイオマスの活用支援手法の開発に関する調査研究報告書:61-70.