資材管理や出荷管理機能などを強化した作業計画・管理支援システム「PMS」

要約

2007年度に公表した作業計画・管理支援システム「PMS」に対して、作付計画時の必要資材量積算機能、生産資材在庫管理機能、収穫以降の生産出荷管理機能、ユーザ定義によるデータ抽出機能などを追加し、実用性を大幅に向上させたソフトウェアである。

  • キーワード:機能強化、作付管理、作業管理、在庫管理、出荷管理、GIS、ソフトウェア
  • 担当:近中四農研・生産支援システム研究近中四サブチーム
  • 代表連絡先:電話084-923-4100
  • 区分:近畿中国四国農業・営農、共通基盤・情報研究
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

新たな米政策の下、農地集積や法人化・集団化の進展に伴い、地域農業の担い手は多くの圃場を管理する一方、一経営体としての効率的な管理を求められている。そこでこのような担い手が手軽に導入・利用可能な圃場作業管理ソフトウェア「PMS」を公開したところ、農業者からの関心や利用者(2007年7月~2009年12月ダウンロード登録約500名)を得るとともに、さらなる機能追加や改善の要望が寄せられたため、これらの要望を反映した改良・機能強化を行い、農業生産に係る情報管理事務作業の一層の効率化を目指す。

成果の内容・特徴

  • 本システムは、圃場地図を表示しながら圃場ごとの作付や栽培作業情報を視覚的に把握・管理するためのソフトウェア「GIS互換の圃場地図を利用した作業計画・管理支援システム」(2007年度成果情報)の改良・機能強化版である。基本機能として、作付・作業計画の作成から栽培作業進捗状況の確認、作業実績の記録などの情報管理を圃場単位で支援する機能、および蓄積されたデータに基づく栽培技術改善点の把握や各種書類作成を補助する機能を装備している。
  • 2007年度成果情報として公表以降に特に要望の多かった、圃場作業前の作付計画時の必要資材量積算、水利管理(水系や水域ごとの配水予定の登録と地図表示)、圃場における生育データ管理(ユーザ定義による任意の生育データ項目を圃場・日単位で記録)、生産資材在庫管理(肥料・農薬・種子・燃料・その他生産資材の日単位の入出庫登録、月単位の在庫管理、棚卸確認)(図1)、圃場作業後の生産出荷管理(圃場収穫から製品化に至る工程および製品出荷状況管理)(図2)などの機能を追加している。
  • 基本機能についても、作付管理では一管理ファイル当たりの登録可能な作付数上限の撤廃、作業管理では作業記録項目の追加および登録可能なデータ件数上限の撤廃や、GPS作業軌跡の圃場地図重ね表示、「モバイル農業記録ソフト:MFD」(2005年度成果情報)との連携によるWindows Mobile端末(PDA、スマートフォンなど)を使用した現場作業記録作成、などの機能を追加または強化している。
  • 本システムのデータベース内に蓄積されたデータは、利用者がGUI上で作成可能なクエリ文(データ検索コマンド)により、必要な項目・データを抽出しエクセルファイルに直接出力できる(図3)。これによりエクセルを援用して高度な集計や経営シミュレーション、任意書式での整形出力などが可能となる。

成果の活用面・留意点

  • 営農上の新たな利用場面としては、農業者による生産資材の使用状況把握と在庫管理、作業者ごとの作業精度管理、生産物の在庫・出荷管理、生産履歴対応などが挙げられる。
  • 本システムは農研機構の職務作成プログラムとして著作権登録されている。同時に無償提供許可を得ており、Webサイトを通じたダウンロードまたはマスタCD配布が可能となっている。最新版の入手方法やマニュアル、動作環境などの詳細については、本システムの情報公開Webサイト(http://www.aginfo.jp/PMS/)を参照のこと。

具体的データ

図1 生産資材在庫管理画面例(左:入出庫登録,右:在庫一覧)

図2 生産出荷管理画面例

図3 テーブル結合を伴うクエリ定義とデータ抽出例

その他

  • 研究課題名:生産・流通IT化のための農業技術体系データベース及び意思決定支援システムの開発
  • 中課題整理番号:222b
  • 予算区分:委託プロ(担い手)
  • 研究期間:2008~2009年度
  • 研究担当者:吉田智一、高橋英博、寺元郁博
  • 発表論文等:1)吉田ら(2009)農業情報研究、18(4):187-198 2)吉田、高橋(2009)農業情報研究、18(1):41-51 3)吉田ら、職務作成プログラム登録、機構M-08