小規模直売所の持続的運営のための効果的なネットワーク化

要約

中山間地域等における小規模で高齢者の多い直売所では、生産者等への幅広い広報や消費者へのPR活動や、直売所間の交流による関係者の意識変化を通した持続的運営体制づくりに対して、公的機関が事務局機能を支援する直売所のネットワーク活動が有効である。

  • キーワード:中山間地域、小規模直売所、高齢化、ネットワーク化、持続的運営
  • 担当:近中四農研・中山間傾斜地域施設園芸研究チーム、農工研・農村計画部長
  • 代表連絡先:電話0877-62-0800
  • 区分:農村工学、近畿中国四国農業・営農
  • 分類:技術及び行政・参考

背景・ねらい

直売所は、地域おこし、女性・高齢者の活躍の場作りや所得向上を目的に農家グループ運営の小規模な店舗が徐々に増加し、その後、行政・農協等が直売事業に参入し大規模店舗が作られ、発展してきた。一方で、近年、小規模の直売所では店舗の乱立による共倒れや、出荷者の高齢化によって衰退する所も見られる。そこで、直売所の持続的運営のために行政が事務局機能を支援する直売所間でのネットワーク活動に着目し、直売所代表者へのアンケート調査および聞き取り調査をもとに、運営状況の把握を行い、ネットワーク活動の有効性を示すとともに、小規模直売所のネットワーク化の重要性を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 調査地域は愛媛県の山間部に位置するK町で、町内には14カ所の直売所があり、そのすべてが直売ネットワーク活動に参加している。各直売所は小規模で農家が運営主体であるところが多い(表1)。各直売所の主な出荷者層は70歳以上の高齢者である(表1)。
  • 70歳以上の出荷者が減少している主な理由は高齢による引退である。一方で、60~69歳、70歳以上の出荷者が増加している理由としては、高齢により市場出荷を停止した農家が自家菜園の余剰分を直売所に出荷するようになったこと、これまで自家菜園のみだった農家が広報活動等により直売所活動を知り、参加するようになったことがある。高齢化の進んだ中山間地域でも潜在的な出荷者がまだ多く存在する(表2)。
  • 直売ネットワークは役場担当者(行政)の企画・運営でPR活動やイベントなど行っている(図1)。活動開始時は役場主導であったが、直売所間の交流やネットワーク化による共同のPR活動を通じて活動を知ってもらうことで、直売所関係者には積極的な会合への参加や、イベント費用の一部の負担を申し出るなど、自分たちの活動であるとの認識が芽生えた。またこのような意識の変化および、幅広い広報活動による新たな出荷農家の増加や地元観光農園のイベントへの参加などが生じて外部者との関わりも変化しており、ネットワーク化が直売所活動の活性化に寄与している(図1)。
  • ネットワーク活動開始時には事務局の負担が大きいが、ネットワークに参加する各直売所に対して中立的な立場で、直売所との関わりが日常的にある行政が事務局機能を担ったことがネットワーク活動を継続させている(図1)。
  • 活動開始後1年目では、直売所のネットワーク化活動の収入面での具体的効果は現れていないが、14箇所のうち13の直売所が共同のPRや直売所間の交流、研修会などの活動を維持・発展させたいと考えている。このような意識変化による積極的参加の高まりが直売所ネットワーク活動の有効性を示している(図2)。

成果の活用面・留意点

  • 調査地域のK町は小規模直売所が多くJA等が運営に関わっていない地域である。
  • 事務局の置き方については地域の実情にあわせたネットワークエリアなどの検討が必要である。
  • 小規模の直売所によるネットワークを立ち上げる場合の参考資料となる。

具体的データ

表1 調査地域の14直売所の概要

表2 出荷者の主たる年齢層別の直売所数の増減

図1 直売ネットワークの運営および活動の状況

図2 直売ネットワークに対する希望およびメリットと課題

その他

  • 研究課題名:地域資源の再評価と都市・農村の共生・対流による集落機能低下抑止対策の評価
  • 中課題整理番号:413a
  • 予算区分:交付金プロ(地域管理)
  • 研究期間:2007~2009年度
  • 研究担当者:吉村亜希子、石田憲治、島 義史、守友裕一(宇都宮大)、作野広和(島根大)、上野美帆(都市農山漁村交流活性化機構)