広報活動報告

「田んぼの科学教室」を大仙研究拠点で開催

情報公開日:2012年7月10日 (火曜日)

日時

2012年7月3日(火曜日)
午前の部 9時50分~11時40分、午後の部 13時20分~15時10分

場所

東北農業研究センター大仙研究拠点(大仙市)

参加者

大仙市及び周辺の小学校5校(西仙北小学校、藤木小学校、南外小学校、四ツ屋小学校、横堀小学校)の5年生160名

内容

近隣の小学校の食育や理科教育の一助となることを願って始めた「田んぼの科学教室」は今年で8回目となりました。

「田んぼの科学教室」は、参加者を30~50名ずつグループ分けし、グループごとに大会議室の講義と圃場での見学に別れ、並行してカリキュラムを進めました。

始めに、大会議室で開校式が行われ、持田研究領域長から「米作りは八十八の手がかかると言われ、農家の方は手間をかけて育てており、このことが米という文字になったと言われている。ここではいろいろな品種をつくり、手間を減らす技術を作っている。しっかりと説明聞き、作物を見て学んでほしい。」旨の挨拶をされた。

続いて、講義が行われ、お米ができるまでの作業の流れや生長過程、雑草や病害虫の防除、品種改良、大豆の転作栽培、品種、生長の仕組み、根粒菌の役割などについて、スライド、米、大豆、肥料のサンプル、稲と雑草の見本を使って、45分ほどで説明しました。講師は、川名主任研究員と高橋主任研究員で、それぞれ1グループを担当。

生徒達は、サンプルをお互いに手渡して米や大豆の色の違いや粒の大きさを見比べたり、イネとノビエを見分けるクイズではポットに植えられた見本の葉っぱをさわって熱心に違いを見つけようとしていました。

講義の最後の質問コーナーでは、「現在の品種の先祖に当たるお米は?」「美味しいお米の見分け方は?」「肥料のリンはイネ以外にも使われているの?」「米の品種はどうやってつくるの?」「最初につくられた米(品種)は?」「1日に何本植えられるの?」「背丈の一番高いお米は?」「粒の一番大きい米は?」「生長が一番早い米は?」「日本はどうして田んぼを作っている面積が広いの?」「一番高く売れる米は?」などの質問が出され、講師が回答に困る場面もありました。質問した生徒の満足そうな顔が印象的でした。

大豆圃場の見学では、島村主任研究員が講師となり、大豆根粒の観察を行いました。生徒8人が各々畑から大豆を掘りあげて根を洗い、根に着生した根粒をほかの生徒達にも回覧して観察しました。また、大豆によって根粒の大きさが違うことを観察し、根粒を指でつぶして、その内部がピンク色なのに驚いていました。

その後、イネの品種が40種類以上植わっている展示圃場に移動。講師は津田研究員。展示圃場に植わっている品種について大まかに説明を聞き、生徒達は品種の特徴を一生懸命に観察用紙にメモして歩き、10分ほどの間に30種類以上の品種をメモしている生徒もいました。この時期は葉の色が異なるもの以外は品種による差が見つけにくいのですが、品種ラベルに書かれた特徴を見比べていました。観賞用イネの奥羽観383号は葉の色が白くて目立つこともあって、多くの生徒がそばに寄って観察していました。

最後は、稲作の作業の流れに沿って使われる機械、ロータリー(耕起)、ハロー(代かき)、田植機、コンバイン(収穫)について湯本業務第3科長が説明したところ、生徒達は間近で見る機械の大きさに驚いていました。

薄曇りでも時折強い日差しがあり、蒸し暑い(大仙市は28°C)天候の中、子供たちは汗を拭きながら、圃場を回って水稲や大豆を観察していました。

何人かの生徒に参加しての感想を聞いたところ、

  • 米の品種がたくさんあることに驚いた。感激した。
  • 人が食べる米以外の米があるのを初めて知った。
  • 肥料もいろいろな種類があって、初めて見た。
  • (10a水田を人手で)1日もかかって田植えをしていたのは大変だったなあ。今は便利になったんだ。
  • 講義は難しいところもあったけど、楽しかった。
  • (大きくなったら農業をやってみたい?)うーん、どうかな。

午前中に参加した西仙北小学校の先生に感想を伺ったところ、

今年から学校近くの農家のお世話になって、田植え体験を行った。秋には収穫も行う予定。イネの雑草の話や根粒菌のことなど、今日の教室で初めて知った子がほとんどだろう。よい勉強の機会になった。今日の経験によって、今後、田んぼのイネや作物を見る目が変わっていくことを期待している。

担当の津田直人研究員からのコメント

イネ展示圃場の見学では、事前に学校の授業でイネの品種・栽培について学んでから田んぼの科学教室に参加されているためか、生徒および引率の先生からこちらの予想以上の鋭い質問が出て、答えるのに非常に苦労しました。

観賞イネや有色米の苗を見て「あのイネはどうして白いのか?」という質問や「お米(玄米)も紫色なのか?」という質問が特に多かったと思います。イネは食用だけではなく、観賞用にも利用されていること、有色米の糠に含まれる色素を使った酒や和菓子があることを説明すると驚きの声を上げていました。また、「なぜ、数多くの品種がすでに存在しているのにさらに改良を進めていかなければいけないのか?」という育種に携わる者にとって永遠のテーマといえる質問にはイネを含む作物の品種改良が日本や世界の食糧生産の安定化にいかに貢献したか、今後取り組むべき課題について少し熱っぽく語ってしまいました。

田んぼの科学教室を機会に東北農業研究センターで行われている研究活動に理解が進み、また、食および農業にもより強い関心をもって欲しいなと思います。

科学教室の様子

開校式で、持田研究領域長が挨拶。
開校式で、持田研究領域長が挨拶。

Aがノビエかな。でも、Bも似てるよ! 答えを見てみようか。
Aがノビエかな。でも、Bも似てるよ! 答えを見てみようか。

大豆は畑のお肉か。それなら・・・質問もメモしておこう。
大豆は畑のお肉か。それなら・・・質問もメモしておこう。

これはリン肥料だよ。よく見てごらん。
これはリン肥料だよ。よく見てごらん。

へぇー、カリ肥料って、茶色なんだ。初めて見たよ。
へぇー、カリ肥料って、茶色なんだ。初めて見たよ。

クイズの答えは?「ハイ」「ハイ」「タンパク質です」
クイズの答えは?「ハイ」「ハイ」「タンパク質です」

ここでは、根粒菌の話をしまーす。よく聞いてください。
ここでは、根粒菌の話をしまーす。よく聞いてください。

ほら、これが根粒菌だよ。寄ってきて見てみて。
ほら、これが根粒菌だよ。寄ってきて見てみて。

ここには40種類以上のイネがあります。外国のイネもあります。
ここには40種類以上のイネがあります。外国のイネも
あります。

ふーん、「ひとめぼれ」のお母さんは「コシヒカリ」なんだ。
ふーん、「ひとめぼれ」のお母さんは「コシヒカリ」なんだ。

私は30種類を見たよ。ほんと、頑張ったね。
私は30種類を見たよ。ほんと、頑張ったね。

次は田植機。さあ、もっと近くによって来て見てごらん。
次は田植機。さあ、もっと近くによって来て見てごらん。

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