広報活動報告詳細

第14回「食と農のサイエンスカフェinふくやま」を開催しました。

情報公開日:2016年9月30日 (金曜日)

開催日時 

2016年(平成28年) 8月27日(土曜日) 13時15分~14時45分

開催場所 

西日本農業研究センター 講堂 (広島県福山市西深津町)

参加者数 

25名(10代以下:7名、初参加:13名)

開催概要 

平成28度の第1回目となる「食と農のサイエンスカフェinふくやま」を開催しました。サイエンスカフェは、食や農の科学についてお茶を飲みながら気軽に語り合う場として平成24年度から始めた企画で、通算で14回目となりました。

今回の話題は「農地から環境問題を考える」で、話し手は主任研究員の志村もと子(しむら もとこ)、進行役は総務部の藤岡美代子(ふじおか みよこ)で行いました。

話題の前半は「農地の水質」がテーマでした。農地周辺の水域の水質には、空中~農地~水域の間で「窒素(ちっそ、以下‘N’)」がうまく循環せずに、偏ってたまることが悪影響を及ぼしています。このNの偏りの問題を軽減するために、農地から水域に流れる農業排水を処理してNのバランスを保つ例を紹介しました。

まず、養鶏場からの排水を、周辺の高所から低所につながる複数のため池を通すことによって「ろ過」し、さらに「ため池」にポンプで空気を送り過剰なNを空気中に追い出す方法です。これにより、下流のため池では、アンモニア態窒素や有機態窒素が減り、貝などの生物が棲めるようになったことも紹介しました。さらにため池の下流にある水田では、「脱窒菌(だっちつきん)」の働きで、過剰なNを空中に逃がすことにより、水質が改善されていることを紹介しました。

話題の後半は「地球温暖化と農地」がテーマでした。農業によっても、地球温暖化の原因となる温室効果ガスが発生しますが、これらの温室効果ガスの発生が少ない2つの農業技術を紹介しました。イネを育てる際に「代かき」を行わない「無代(むしろ)かき技術」と、酪農地の農業排水を高所~低所に配置した複数の「人工湿地」の利用です。細かく土を砕き、田植えの直前に水を入れる「無代かき」により、温室効果ガスが発生しやすい湿った期間が減り、「代かき」と比べて温室効果ガスが3分の2に減った例や、北海道のある酪農地での「人工湿地」の利用で、温室効果ガスの発生が従来の約3分の2に減った例をわかりやすく解説しました。

話題提供の合間には、1.西日本農業研究センターの水田周辺に生息する生物の展示、2.農業排水の水質を測るミニ実験を行いました。1では、多くの参加者がアメリカザリガニ、ギンブナ、スッポンなどを間近で歓声を上げながら観察し、志村主研の解説に耳を傾けていました。2では、3種類の農業排水の水質を、検査紙の色や計測器の数値で表しました。子供だけでなく大人にも楽しく体験いただけたようです。

休憩時間には、パン用小麦の新品種「せときらら」を使用して焼いたデニッシュ・パンを試食していただき、こちらも大変好評でした。

質問コーナーでは、脱窒は水田以外では起こらないのか、「無代かき」はどのくらい普及しているのか、自宅の庭で人工湿地を作れるのかなどの疑問が寄せられました。アンケートでは「話がわかりやすくてよく理解できた」「参加して良かった」という回答が非常に多く、環境に対する農地の役割を理解していただけたのではないかと思います。

 

志村研究員

生き物3種農業排水質疑応答