プレスリリース
安全鑑定における確認項目の改正について

情報公開日:2012年4月17日 (火曜日)

ポイント

  • 農用運搬機(乗用型)、圃場内運搬機(乗用専用、乗用/歩行兼用)については、転倒時運転者保護装置が用意され、その装着が可能な構造であることが要件になります。
  • 農用トラクター(乗用型)については、低速車マークの装着が要件になります。
  • 平成25年度より、安全鑑定における安全装備の確認項目となります。

概要

農研機構 生研センターで実施する農業機械の安全鑑定では、平成25年度より、安全装備の確認項目として、2つの新たな事項が追加される予定です。一つは、農用運搬機(乗用型)及び座席を有する圃場内運搬機(乗用専用、乗用/歩行兼用)について、転倒時に運転者を保護するフレームが装着可能な構造であることと、そのフレームが用意されていることが構造要件になることです。もう一つは、農用トラクター(乗用型)について、低速車マークを装着していることが、同じく構造要件となることです。


詳細情報

背景と経緯

1.農用運搬機及び圃場内運搬機の転倒時運転者防護について

農作業死亡事故のうち、農用運搬車に係るものが毎年40件前後発生しております。このうち、転落・転倒によるものが約半数を占めており、農用運搬車の転落・転倒事故への対策が急務となっております。生研センターでは、乗用型農業機械の転倒時運転者防護対策に関する研究を通じて検討を行い、乗用型のロータリーモア用TOPS(Tip-Over Protective Structure:横転時運転者保護構造物)の規格(ASAE S547)が、農用運搬車に適用可能であるという結論を得ました。その後、関係のメーカと検討を重ね、さらに23年度安全鑑定推進委員会での承認を得て、平成25年度より、これらの機種の転倒時運転者防護のためのフレームに関する事項を安全鑑定基準に導入することとなりました。

なお、農用運搬機は、果樹園やハウス内など、全高が制限される状況で使用し、フレームが作業上支障になるケースがある一方で、安全性を望むユーザもいることから、少なくともフレームの装着を希望するユーザには、要件を満足した機械が提供できるよう「装着可能な構造であり、そのフレームが用意されていること」という内容の基準となっています。

2.農用トラクター(乗用型)の低速車マーク装着について

農業機械が一般の自動車と比較して速度が遅いことから、特に夕方から夜間にかけて、前方を走行する農業機械に対して、後方から接近する一般自動車からの認知が遅れ、減速等の回避行動が間に合わず追突事故が発生しています。このような背景をふまえ、生研センターでは、農業機械への追突事故等の防止を図るため、後続車からの識別を容易にする低速車マークの装着について、トラクターメーカを中心に検討を重ねてきました。その結果、25年度より、農用トラクター(乗用型)について、低速車マークの装着を安全鑑定の確認項目として、基準に適用することになりました。

図1、図2

用語の解説

1.安全鑑定

安全鑑定は、農業機械を「安全鑑定基準及び解説」に基づいてチェックし、基準に適合する一定水準以上の安全性を有するかどうか判定するものです。生研センターは、製造業者または輸入代理店などからの依頼によって安全鑑定を行っています。鑑定の結果は、依頼者に通知されるとともに、基準適合機は農林水産省に報告されます。また、基準適合機には「安全鑑定証票」を貼付することができます。