プレスリリース
平成23年度安全鑑定結果について

情報公開日:2012年7月10日 (火曜日)

概要

  • 平成23年度分の安全鑑定適合型式数は、160型式(11機種)であり、機種別の内訳は、表のとおりであった。
  • 「その他機種」に分類されたものは、8型式(6機種)であった。

表 年度別安全鑑定適合型式数


詳細情報

主な機種の特徴等

農用トラクター(乗用型)

23年度の安全鑑定適合機は、6社47型式(安全キャブ仕様のみは38型式、安全フレーム仕様のみは1型式)で、その搭載機関の定格時出力は13~263kW(18~358PS)、排気量は1.123~7.754Lであった。機関出力74kW(100PS)以上の全体に占める割合は35%程度であり、22年度とほぼ同程度であった。走行形式は車輪式が30型式、半装軌式(後輪のみ装軌)が16型式で、半装軌式は全体の約35%を占めた(22年度は20%程度)。装軌式はなかったが、それとは異なる4輪それぞれに履帯を装備した4輪装軌式が1型式あった。

ここ数年、省エネ作業や運転者の操作を減らして効率的な作業をアシストする機能が増加傾向にあり、23年度の国産機の中に、無段変速トランスミッションを生かしてエンジン回転速度と走行速度を作業目的に応じて制御するものが複数見られた。軽負荷作業時に作業速度を一定に保ちながら、スイッチ操作により回転速度を下げて省エネ運転を行う機能や、作業負荷増大時に回転速度を予め設定した速度まで上げる機能等があり、これはエンストを回避しつつ作業効率を維持または向上させるのに役立つ機能である。

また、ディーゼル特殊自動車に対する排出ガス規制は、23年10月からより厳しいものとなっており、安全鑑定受験機の中では24年3月現在、尿素SCRシステムを搭載した機関出力177~263kWの輸入機4型式が、その規制に適合している。

農用トラクター(歩行型)

23年度の安全鑑定適合機は、4社4型式、呼称出力が0.8~3.0kW(1.1~4.1PS)、全4型式が管理専用機であり、主クラッチレバーを握るまたは押さえることにより動力が伝達され、手を離すとレバーが戻り動力が切れるデッドマン式クラッチを装備していた。また、このうちの3型式は、車軸耕うんロータリーを標準とする機械であった。22年度から、後進時の事故低減に向け、車軸耕うんロータリーを標準とする機械は原動機を用いた後進ができない構造であること(ただし、後進走行速度が1.8km/hを超えず、手を離すと自動的にクラッチが切れるものはこの限りでない)となったが、これら3型式がこの基準に適合することになった。

田植機

23年度の安全鑑定適合機は、マット苗用3~8条植えの15型式全てが乗用型で、植付機構は、3~4条植え2型式がクランク式、他は全て回転式であった。機関は6条ならびに8条植えでディーゼル機関が2型式あり、他は全てガソリン機関で、除草剤散布機付きのもの、電動苗レール装備のもの、省エネモード付き電子制御エンジンのものや、苗補給時アイドリングストップ機能、速度上限設定機能、苗載せ台端寄せ機能等の新機能を装備したものもあった。

スピードスプレヤー

23年度の安全鑑定適合機は13型式で、機関出力が16.1~49.4kW(22~67PS)であり、立木用又は立木・棚作り兼用の自走式であった。走行形式は6輪駆動が1型式の他は4輪駆動で、5型式がHST変速であった。操舵形式では4輪操舵のものが4型式、薬液タンク容量は500~1000Lであった。スピードスプレヤーにおける新機構として、旋回時前輪増速機構や、2輪駆動で運転時に常用ブレーキ操作により4輪駆動となるものがあった。なお、キャビン付きのものは、後進時後方確認モニタを装備していた。

コンバイン(自脱型)

23年度の安全鑑定では、2~7条刈、機関出力11.4~83.8kW(15.5~114PS)の幅広い適合機がみられた。ダイヤル操作またはボタン操作で作業速度や機関回転、選別部の調整を自動で行う機種が多く見られ、ステアリングを含む操作系の電動化による操作性向上、制御系センサの2重化による信頼性向上を図る機種もあった。一方で、自動化の装備を絞ることで価格を抑えつつ高能率化・高耐久性を図る機種もあった。2条刈りコンバインでは刈取部をソリで支持し田面に追従させることでレバー操作回数の減少を図った機種が見られた。

 

ケーンハーベスター

23年度の安全鑑定適合機は5型式で、機関出力が36.0~138 kW (49~188PS)であり、走行形式はゴムパッド付き鉄クローラまたはゴムクローラのものが各2型式、1型式は4輪式2輪駆動で、全て全油圧駆動であった。切断したさとうきび収納は、自動荷下ろし装置付きバック式又は伴走車によるコンベア排出方式であった。また、糖分の無い頭部を切断するトッパーや隣の条のさとうきびを分離するサイドカッター付きのものもあった。なお、1型式を除きキャビン付きであった。

 

動力刈取機(刈払型)

23年度の安全鑑定適合機は肩掛型8型式で、機関出力が0.63~1.1kW(0.86~1.5PS)であり、4サイクルが1型式、2サイクルが7型式であった。ハンドル形状については、両手ハンドル(U字)が7型式、ループハンドルが1型式で、装備されている刈刃はいずれもチップソーであった。なお、転倒やキックバックの衝撃を感知すると自動でエンジンが停止する安全装置を装備した型式も見られた。

 

乾燥機(穀物用循環型)

最大呼称張込量0.9~8.5tの幅広い適合機があった。作物別、乾燥モード別の制御、一部部品の交換による穀粒の汚れ防止などの改良を加えた汎用乾燥機のほか、そば乾燥機能を追加した稲麦用機種も見られた。さらに、排気の一部を乾燥部に再導入するヒートリサイクル機構を初めて搭載し電力及び灯油の消費量削減を図った機種、吸引・排風ファンの改善により騒音の低減を図った機種があった。

その他機種

・いも類収穫機

本機は、生食用又は加工用の甘しょ、ばれいしょ等を掘取条数1条で掘取り、収穫するゴムクローラ式の機械であり、掘取ったいも類の収納は、生食用機械の場合は手収納による小型コンテナ詰めであり、加工用の場合は、自動荷下ろし装置付きのバック方式であった。

 ・種いも植付機

本機は、野菜移植機の苗供給部をばれいしょ又はさといもの種いも用に変更した1条植えの歩行型の機械である。種いもの供給は、人力による半自動式であった。

 ・レタス包装機

本機は、レタスを人力供給、自動給紙・取り出しで包装する機械であり、AC100Vで動作する。

用語の解説

尿素SCRシステム

排出ガス浄化技術の1つであり、尿素水を排出ガス中に噴霧することで得られたアンモニアガスにより、窒素酸化物(NOx)を窒素と水に分解するシステム。SCRはSelective Catalytic Reductionの略であり、「選択触媒還元」のことである。