プレスリリース
新規課題21課題を新たにスタート!

情報公開日:2015年4月14日 (火曜日)

概要

農研機構生研センターでは、革新的農業機械・技術の研究開発を通じて、生産性の向上、省力化、環境負荷の低減や農作業安全等の推進を図っております。この度、新規課題として新たに次の21課題(農業機械等緊急開発事業:4課題、基礎基盤研究:17課題)を開始することとしましたのでご報告します。

新たに研究を開始する課題一覧

I. 農業機械等緊急開発事業 (緊プロ事業)

(1)高速高精度汎用播種機の開発

[概要] 稲、麦、大豆およびトウモロコシ等多様な作物種子を高速高精度に播種することが可能で、一部不耕起ほ場にも適応する播種機を開発する。
[目標] 作業の高速化および耕うん整地作業の省略等によって、播種時期の作業時間を2~4割程度削減する。

(2)野菜用の高速局所施肥機の開発

[概要] 高精度に車速に連動し高速で作業ができるほか、作物の生育に効果的な位置に局所施肥を行うことで、施肥量の削減を可能とする施肥機を開発する。
[目標] 設定施肥量に対する実施肥量の誤差2%以内、最高作業速度1.4m/sを目標とする。

(3)軟弱野菜の高能率調製機の開発

[概要] ホウレンソウ等の軟弱野菜を1株ずつ供給するだけで根切りと下葉取りが行え、手直しによる調製時間が削減できる高能率の調製機を開発する。
[目標] 搬送機構の見直し、下葉調製部のブラシや調製ロールの改良により、既存のホウレンソウ調製機より30~50%高能率化し、きれいに仕上げる。

(4)籾殻燃焼バーナーの開発

[概要] 穀物乾燥に用いる石油削減のために、籾殻の燃焼熱を穀物乾燥機に利用することのできる籾殻燃焼バーナーを開発する。
[目標] ライスセンターに設置することができる小型の籾殻燃焼バーナーで、熱出力は418MJ(10万kcal)程度とする。燃焼となる籾殻の投入や灰の排出および熱風温度の制御は自動化し、最終的に穀物乾燥に係るランニングコストを50%削減する。

II. 基礎基盤研究

(1)直線作業アシスト装置の適用性拡大

[目的] 緊プロ事業で開発した直線作業アシスト装置の現地ほ場での試験運用を行い、実用化に向けた細部の改良や仕様検討を進める。また、実用化に必要なフェイルセーフや自動調整などの周辺機能の開発を進めると共に、技術マニュアルや解説を整備して、生産メーカへの円滑な技術移管を進める。

(2)トマト用接ぎ木装置の開発

[目的] 低コストな接合資材を用いて接ぎ木を行う接合部および接合部へ苗を供給する給苗部から構成されたトマト接ぎ木装置を開発する。装置の作業能率は、1000 本/h 以上を目指す。

(3)大ロット肥料体系の確立に向けた実態調査

[目的] 慣行の20kg 袋の肥料体系や北海道で導入されている大ロット肥料体系(フレコン体系)について現地調査を実施し現状を把握するとともに、大ロット肥料体系の確立に向けた新たな機械開発のニーズについてとりまとめを行う。

(4)高能率水田用除草装置の実証試験

[目的] 有機農業を推進している地域において、緊プロ事業で開発した開発機を有機栽培水田圃場で実証試験を行う。また、除草時期、除草回数、作業速度等は各地の諸条件によりかなり異なるため、本装置の適正な使用方法等を検討する。

(5)高能率水稲等種子消毒装置の高度利用に関する研究

[目的] 緊プロ事業で開発した高能率水稲等種子消毒装置の高度利用を図るため、一部の水稲種子伝染性病害の防除効果向上に向けた総合防除法の確立、および麦類を中心とした水稲種子以外への汎用利用を目指す。

(6)新規需要米の省エネルギー・低コスト乾燥技術の研究

[目的] 日本で最も普及している循環式乾燥機を使って高温高速乾燥試験を行いエネルギーの低減効果を調査すると共に、乾燥した米の品質を調査し、省エネルギーで加工適正に優れた乾燥条件を求め、市販機や乾燥施設に反映する。

(7)果樹花粉採取作業における採花装置の開発

[目的] ナシ等の採花作業の省力化を図るため、採花機構の考案・試作・性能評価を行い、花粉採取のための採花装置を開発する。

(8)非結球性葉菜類の刈取り搬送機構の開発

[目的] ほ場間移動などの機動性にも優れる小型機でかつ大容量収容部を備える非結球性葉菜類収穫機を実現するため、刈取り部から大容量収容部までの前後長が短く、十分な高低差を搬送できる新たな刈取り搬送機構を開発する。

(9)イチゴ収穫ロボットと組み合わせた循環式移動栽培装置の実証

[目的] イチゴ収穫ロボットのイチゴ収容トレイの自動交換を伴う夜間無人収穫作業と、翌朝の人による収穫作業との組み合わせなどによる収穫作業の省力効果を実証する。また、収穫以外の作業の省力効果やイチゴを栽培しない期間の装置活用など、メリットを高めるための使用方法や、ロボット収穫に適した栽培管理方法についてのマニュアルを作成する。

(10)圧密された飼料の省力的解体技術に関する調査研究

[目的] 現在流通している圧密粗飼料の実態を調査するとともに、圧密粗飼料を簡易な機構で定量給餌可能な状態に解体する手法について調査・研究を行う。

(11)微生物環境制御型脱臭システムの実証試験

[目的] 緊プロ事業で開発した微生物環境制御型脱臭システムの年間を通した長期的な実証運転を行い、脱臭性能を把握する。

(12)悪臭の原因となる家畜ふん尿由来の液肥施用の調査研究

[目的] 現行の施用方法、施用機械、施用量などの実態を把握し、現状に即した、悪臭を低減する液肥施用手法の開発のための指針を得る。また、施用時の悪臭を測定し、悪臭低減の評価方法を検討する。

(13)自動化・ロボット化農業機械の評価試験方法に関する調査研究

[目的] 実用化が近い車両系の自動化・ロボット化農業機械について、その使用・稼働場面を想定し、機能や性能についての評価手法の構築に資する調査を行う。

(14)農作業用身体装着型アシスト装置・技術に対する評価手法の調査研究

[目的] 農作業を前提とした上肢の上向き作業、及び持上げ歩行用の身体装着型アシスト装置・技術の性能等に関する評価手法の調査を行う。

(15)施設園芸における地中熱・水熱源暖房システムに関する調査研究

[目的] 小規模な施設園芸等を対象とした地中熱・水熱源ヒートポンプシステムの暖房運転時データを調査し、小規模な施設園芸等における地中熱や地下水熱利用の可能性と課題について検討する。

(16)歩行用トラクタの危険挙動に対する安全技術の開発

[目的] 挟圧防止装置およびデッドマン式クラッチの安全性向上技術や、ダッシング等の突発的な挙動を検出する手法を開発する。

(17)乗用農機の安全支援機能の開発

[目的] 大規模法人経営やコントラクタに普及しつつある作業・営農支援システムに付加できる安全支援機能及び、高齢農業者にも多く使われている比較的古い乗用農機にも後付け可能な安全支援装置を開発する。