プレスリリース
来歴のはっきりした美味しい牛が生まれます

- ゲルとビーズを用いた受精卵の人工培養法 -

情報公開日:2005年10月18日 (火曜日)

【概要】

ゲルとビーズを用いて受精卵を人工的に培養することにより、来歴のはっきりとした美味しい子牛を効率的に生産することができます。

 【本文】

九州地域は畜産が盛んで、中でも肉用牛は全国の37%を占める約100万頭が飼養されている。

近年、子牛生産においては、人工授精や受精卵移植などの人工妊娠技術が普及し、能力の高い牛をつくりだすことが可能になっている。中でも、体外受精技術を用いた低コストかつ大量の受精卵生産方式が年々増加している。

しかし、これまでの体外培養においては、個体別に卵子を採取し、体外授精、体外培養を行う場合、雌牛毎に採取した卵子の数が少ないと体外培養時の発育が悪くなり、移植に利用できる受精卵が少なくなる問題点があった。正常に発育させるためには、一つの培養器の中で多数の受精卵を培養する必要がある。その際、複数の雌牛卵巣から採取した来歴の異なる受精卵を混在させることになり、来歴を識別することが不可能となる。

この改善策として、来歴を同じとする少数の受精卵群をゲル状のアルギン酸カルシウム注)で包み、その中にガラスビーズを入れることで雌牛毎の識別が可能となった。この方法を用いて7~9日間培養したところ、正常受精卵の発育の割合が約2倍に改善され、来歴のはっきりした美味しい牛を低コストで生産することができる。


詳細情報

【用語解説】

アルギン酸カルシウム
アルギン酸カルシウムは透明で物質透過性が高く、人工イクラなどに利用されている。

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