プレスリリース
Mi44(とうもろこし農林交親52号)

- 九州沖縄農業研究センター育成品種の紹介 -

情報公開日:2001年10月 9日 (火曜日)

育成のねらい

飼料用とうもろこしの栽培品種は、自殖系統(自家受粉を 数世代続けて、同世代内のばらつきがないよう均一にした系統)を両親とする一代雑種が広く利用されている。わが国では、以前は米国で育成された自殖系統を 組合わせて一代雑種を育成していたが、そのような一代雑種は国内の気象条件に十分適応していないことから、独自の親自殖系統を育成することが必要であっ た。そこで、耐倒伏性と主要病害抵抗性に優れ、組合せ能力の高い自殖系統を育成し、耐倒伏性に優れる一代雑種育成のための親品種として利用する。

来歴の概要

 昭和62年に宮崎県総合農業試験場都城支場(現畑作園芸支場)育種科において、当時広く普及していた品種「P3358」を相互交配し、耐倒伏性と各種病害抵 抗性についての系統選抜及び個体選抜と自殖による固定化を進め、平成2年以降九州農業試験場畑地利用部飼料作物育種研究室(現九州沖縄農業研究センター畑 作研究部とうもろこし育種研究室)において、選抜と自殖を繰り返し、平成6年に「Mi44」と命名された。一代雑種の親として組合せ能力を検定するための 検定交配、耐倒伏性検定試験、採種性検定試験及び特性評価試験を行って優秀性を確認した。

命名の由来

 九州沖縄農業研究センター畑作研究部の所在地の都城(Miyakonojou)にちなむ。番号は44番目に育成されたことを表現。(読みは「えむあいよんじゅうよん」である。)

新品種の特徴

 粒質はデントである。

早晩性は九州では「中生」に属する。

ごま葉枯病抵抗性および紋枯病抵抗性はいずれも「強」である。耐倒伏性は「強」、折損抵抗性は「極強」である。

デント種及びフリント種自殖系統との組合せ能力が高い。本品種を種子親とする一代雑種の平均収量は、同熟期の普及品種並かそれより高い。本品種を種子親と する一代雑種「ゆめつよし」(中生の晩)は、耐倒伏性に優れ、同熟期の普及品種と比べて、TDN収量が約3ポイント高い。

今後の展開

 一代雑種の親品種として利用する。
mi44_s.jpg

「Mi44」の草姿
(撮影:平成12年7月23日、九州沖縄農業研究センター)

mi44_m.jpg「Mi44」の雌穂及び粒