ポイント
- 農研機構九州沖縄農業研究センターとカネコ種苗株式会社は、夏播き用エンバク極早生品種「K78R7」(商品名:アーリーキング)を共同開発しました。
- 「K78R7」は、耐倒伏性や病害抵抗性を確保しつつ、多収性を実現しました。
- 農家圃場での試験栽培でも他品種と比較して安定多収を示し良好な成績が得られています。
概要
- エンバクの夏播き・年内収穫栽培は、自給飼料の端境期である冬季に牧草を供給できる栽培体系として広く普及していますが、安定生産のため、年内に収穫できる極早生性に加えて多収性と耐倒伏性を両立する品種が求められていました。
- 「K78R7」は、「九州16号」と比較して、出穂の早さがやや遅く、草丈が高いですが、耐倒伏性は同程度で、収量性が並かやや多収です。また、多収性で広く普及してきた「既存品種A」との比較では、出穂の早さ、草丈は同程度で、収量性は並かやや高く、耐倒伏性は明らかに優れ(表1、図1、写真1)、安定多収に貢献できます。
- 「K78R7」は、冠さび病や葉枯性病害の病害抵抗性にも優れ、一部の地域で近年、問題になっているひょう紋病の病害程度も低くなっています(表2)。
- 九州、関東地域を中心に、22カ所の農家圃場での試験栽培を展開し、大きな問題は指摘されませんでした。収量調査を実施した鹿児島県や群馬県では、育成機関による試験結果と同様に多収性と耐倒伏性で良好な成績が得られています(図2、写真2)。
- 2014年から種子の流通が始まり、カネコ種苗株式会社から「アーリーキング」の商品名で販売されています。本品種は関東から九州を中心に、既存の極早生品種を栽培できる地域で利用できます。
関連情報
種苗法に基づく品種登録出願:出願番号 第28185号