プレスリリース
飼料用の新水稲品種 「リーフスター」

- 茎葉部分が大きく、稲発酵粗飼料に向く -

情報公開日:2005年11月21日 (月曜日)

要約

独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構作物研究所(以下、作物研究所)と国立大学法人東京農工大学(以下、東京農工大学)は、稲発酵粗飼料用の水稲新品種「リーフスター」を育成しました。この品種は、可消化養分総量(TDN)収量が高く、地上部全重収量における茎葉部分の割合が多いのが特徴です。極長稈にもかかわらず耐倒伏性が強く、牛に稲発酵粗飼料として給与した場合、未消化籾の発生が少ない特性を持ちます。農林水産省において「リーフスター」と命名され、水稲農林413号として登録されました。現在種苗登録申請中です。

背景

我が国では、乾草や稲わらといった粗飼料の自給率が低いことから、水田での自給粗飼料生産の向上が求められています。茎葉をサイレージ化する稲発酵粗飼料では、子実と茎葉を含めた全重の多収性が重要です。しかし、これまでの飼料イネ品種を牛に給与すると、未消化籾が高い頻度で発生する場合があり、問題となっています。そこで、茎葉部分の割合が多く、TDN収量の高い飼料イネ品種が望まれています。

来歴

「リーフスター」は、耐倒伏性極強の多収系統「中国117号」を母、「コシヒカリ」を父とする後代から育成された品種です。平成3年に東京農工大学農学部作物学研究室において、分けつ数が少なく、穂が大きく、稈が丈夫な基礎研究材料育成を目標として人工交配を行いました。平成7年にF4系統を中国農業試験場(現 近畿中国四国農業研究センター)に移管し、さらに平成9年からは農業研究センター稲育種研究室(現 作物研究所稲育種研究室、多用途稲育種研究室)で選抜を行ってきました。平成14年からは「関東飼215号」の系統名で飼料用イネとしての評価試験に供試し、平成17年に命名登録申請を行いました。

主な生育特性

  • 地上部全重収量は、移植栽培と直播栽培の両方で「クサホナミ」より高い。
  • 熟期は温暖地では"極晩生"です。
  • 稈長は"極長"で、穂長は"やや長"です。

主な品質特性

  • 地上部全重収量は、移植栽培と直播栽培の両方で「クサホナミ」より高い。
  • 熟期は温暖地では"極晩生"です。
  • 稈長は"極長"で、穂長は"やや長"です。

栽培適地及び普及見込み先

適地
関東以西の温暖地、暖地

普及見込み先
埼玉県の稲麦二毛作地帯で有望視されている。


詳細情報

参考資料

写真1 リーフスター稲株大きさ

写真2 リーフスター草姿

写真3 籾、玄米