ポイント
- キュウリ黄化えそ病に対して抵抗性を持つ「きゅうり中間母本農7号」を育成しました。
- DNAマーカーを利用することで、キュウリ黄化えそ病抵抗性キュウリ品種の効率的な育成が可能となります。
概要
きゅうり中間母本農7号
- 農研機構は、キュウリ黄化えそ病に対して抵抗性を持つ新たな育種素材「きゅうり中間母本農7号」を育成しました。
- キュウリ黄化えそ病は、メロン黄化えそウイルスにより引き起こされるキュウリの病気で、キュウリ産地では大きな問題となっています。
害虫であるミナミキイロアザミウマによってウイルスが媒介されることから、この病気の防除にはミナミキイロアザミウマの駆除が重要です。
しかし、微小な媒介虫の完全防除は難しい上、近年薬剤に対する抵抗性を発達させたものが増えていることから、キュウリ黄化えそ病に対する抵抗性を持つ品種の育成が強く求められています。 - キュウリ黄化えそ病は、日本での発生が世界で初めての報告であるため、海外において抵抗性を持つ遺伝資源に関する知見はありませんでした。
この度、農研機構が保有する772点のキュウリ遺伝資源の中から抵抗性素材を見いだし、抵抗性を持つ育種素材を育成することに世界で初めて成功しました。 - 「きゅうり中間母本農7号」はメロン黄化えそウイルスに感染はしますが、従来の品種に比べて病徴は軽く、収量の減少も抑えられます。
本品種を育種素材とし、また、これまでに開発したキュウリ黄化えそ病抵抗性の有無を検出するDNAマーカーを選抜に利用することで、効率的にキュウリ黄化えそ病抵抗性キュウリ品種を育成することが可能になります。 - 現在、民間種苗会社と共同で実用的なキュウリ黄化えそ病抵抗性を持つキュウリ品種の開発を進めており、5年後には実用品種が育成されることが見込まれています。
予算
農林水産省委託プロジェクト「ゲノム情報を活用した農畜産物の次世代生産基盤技術の開発プロジェクト」(2013~2014年度) ・運営費交付金